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<原子力施設 東北この1年>(上)女川1号機廃炉決定 コスト大きく採算合わず

廃炉が決まった東北電力女川原発1号機

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、稼働や本格工事の停止・中止を余儀なくされた東北の原子力関連施設は今年、再稼働目標や操業開始時期の延期が相次いだ。
 東北電力は、震災で自動停止した女川原発1号機の廃炉を決めた。今後の廃炉作業に伴う地域への影響が懸念される。
 原発の使用済み核燃料から再処理で取り出すプルトニウムは新エネルギー基本計画で削減方針が打ち出され、核燃料サイクルの見通しは不透明さを増した。
 震災から7年9カ月が経過した各施設のこの1年を振り返る。

◎女川1号機廃炉決定/コスト大採算合わず 地域経済の影響不透明

 東北電力は10月25日、女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市、52万4000キロワット)の廃炉を決めた。運転開始から35年目で新規制基準適合のためのコストが大きく、再稼働しても採算が合わないと判断した。同社にとって廃炉は初めて。解体作業の行方や、東日本大震災からの復興途上にある地域経済への影響など不透明な要素も多い。

 1号機は1984年6月に運転開始した沸騰水型軽水炉(BWR)。東日本大震災で自動停止したままだった。今月21日に国に発電事業変更届を出し、電気事業法上の廃炉となった。女川原発の総出力は2、3号機で計165万キロワット。
 同社によると、1号機の廃炉には30〜40年かかる見通し。解体引当金の見積額は419億円。毎年積み立ててきた引当金が見積額に123億円足りず、2028年11月まで10年間がかりで積み上げる。
 廃炉作業は一筋縄ではない。1号機の燃料プールには821体の使用済み核燃料を保管中。搬出先の日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)は未完成で、当面は留め置かれる見込み。解体による放射性廃棄物の発生量は不明で、ごみの処分先も決まっていない。
 東北電は廃炉作業の工程を示す「廃止措置計画」を19年度中に原子力規制委員会に申請する方針だ。
 電源3法交付金などを受け取る立地自治体の財政面の影響も大きい。廃炉に伴う減収規模が19年度以降の10年間で女川町は十数億円、石巻市は6億7300万円に上るとの試算を公表。宮城県も19年度は1億7000万円の減額が見込まれる。

◎プルトニウム削減に動き/政府 エネ基本計画で明記/原子力委 増えないよう指針/保有上限、削減目標示さず

 原発から出る使用済み核燃料の再処理で取り出すプルトニウムの利用を巡り、政府は7月3日閣議決定のエネルギー基本計画で「削減に取り組む」と初めて明記した。国の原子力委員会も同31日、プルトニウム保有量がこれ以上増えないよう管理する新指針を決めた。
 プルトニウム削減は、核不拡散の観点から懸念を強める米国への配慮との見方もある。約8キロで核兵器1発分の材料になるとされるプルトニウムを、日本は約47トン保有する。
 再処理の権利を日本に認めた日米原子力協定は30年間の期限を迎え、7月17日に自動延長された。今後は米国からの通告で一方的に破棄できる不安定な状況になった。
 原子力委の新指針は、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)で製造するプルトニウムを通常の原発で使う量だけ認可すると定めた。
 プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル発電は停滞し、需要が急増する見通しは立たない。2021年度上半期の完成を見込む再処理工場、MOX燃料工場を含めた原燃の事業は不透明さを増している。
 電力会社が海外に保有するプルトニウムは、原発の再稼働状況に応じて各社で融通するよう促した。具体的な保有量の上限や削減目標は示されなかった。


2018年12月26日水曜日


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