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馬と森と人優しさ循環 宮城・加美町、町有林整備に「馬搬」導入

岩間さんの掛け声に応じ、丸太を引く馬

 宮城県加美町は今月、伐採した木を馬で運び出す「馬搬(ばはん)」を用いて町有林の整備を始めた。馬搬はかつて町内でも盛んだったが、機械化などにより衰退した。町は環境に優しい昔ながらの技術に再び光を当て、町の73%を占める森林の保全と活用に向けて住民の関心を高めたい考えだ。
 同町宮崎の温泉施設「陶芸の里ゆ〜らんど」裏手の林の中から17日、2頭の馬が姿を見せた。「止まれ」「バック」。遠野市の馬方、岩間敬さん(40)らが細かく指示を出す。体重1トン前後の4歳馬はスギやマツの丸太を黙々と引いて並べた。見学に訪れた旭小の児童は「力持ち」「働き者」などと歓声を上げた。
 現場は約20年前、生活環境保全林として遊歩道が整備された。その後はほぼ手つかずで雑木が生い茂っていた。散策などを楽しんでもらおうと、町は本年度、再整備を計画。持続可能な林業に取り組む大崎市のNPO法人「しんりん」に馬搬による間伐を委託した。
 かつて各地の山で見られた馬搬は1970年代ごろを境に、作業の機械化や木材価格の低迷によって担い手が減少した。現在は、岩間さんやしんりんのスタッフら全国でも10人ほどしかいないという。
 馬搬の利点は山を傷つけないことだ。重機を使うには作業道を作る必要があり、重機で遊歩道が壊れる可能性も生じる。馬搬の普及に取り組む岩間さんは「(餌の)草があれば、動かす油も要らない。機械化が進んでも馬に優位性がある分野はある」と力を込める。
 作業は本年度いっぱい続く。切り出した木材の一部は、町が2020年度にゆ〜らんどへの導入を目指すまきボイラーの燃料にする予定。町は「未利用の森林資源を活用し、循環型社会をつくる。大きな構想の第一歩にしたい」と話す。


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2018年12月27日木曜日


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