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<18みやぎ回顧>(11)課題意識の共有不可欠/子どもの学力低迷

小中学校教諭らが公開授業の改善点を話し合った検討会。子どもの学力向上は喫緊の課題だ=9月10日、亘理町高屋小

 元小学校校長のため息が耳に残っている。
 「全国学力テストの結果が地域全体で共有されず、今年の子どもは優秀だったとか外れだったとか、学校現場は一喜一憂するだけ。原因を子ども側に求めていては改善するはずがない」
 2018年度全国学力テストの結果は衝撃的だった。仙台市を除く県平均正答率で、小学6年の全5科目が全国最下位。改善の兆しが一向に見えず、県教委も「大きな危機感を持っている」(義務教育課)と言わざるを得なかった。
 教育行政が無策だったわけではない。県教委は13年、学力向上に向けた5項目の緊急提言をまとめ、教員の指導力向上や教材開発などに取り組んできた。それだけに、関係者の間では無力感すら漂う。
 だが、危機感はどこまで伝わっているのだろうか。
 県内35市町村のうち、学力テスト結果を独自に公表しているのは10市町。「学校の序列化や過度な競争を助長する」「数字が独り歩きする」。非公表の市町村はお決まりの理由を挙げる。
 町に小中学校が一つずつしかないような小規模自治体が非公表とすることは理解できるものの、学力情報の開示に消極的な姿勢は問題解決の足かせになっている気がしてならない。
 子どもの学力向上は学校だけで達成できる問題ではない。家庭学習の重要性は言うまでもなく、保護者の役割は大きい。学校でいじめや不登校が増える中、教員が授業に集中できる環境づくりには、地域社会の協力も必要だろう。
 教委と学校、家庭、地域が一丸となって取り組む前提として、課題意識の共有が欠かせない。結果公表を巡る議論は下火だが、学力改善に結び付いていない自治体は在り方を見直す時期に来ているのではないか。
 白石市教委は今年初めて、結果を公表した。半沢芳典教育長は「公表することで現状がメッセージとして伝わる。関心を持ってもらい、オール白石で学力向上に取り組む」と語る。今年は小中とも全科目で全国と県の平均正答率を下回ったが、今後の巻き返しを期待している。
(報道部・小沢一成)

[メモ]文部科学省の2018年度全国学力テストで、仙台市を除く県平均正答率は小学6年の全5科目が最下位、中学3年の5科目が30〜40位台に沈んだ。仙台市は20政令市中、中3の5科目が全て1位。大河原町は小6の5科目が全国5位以内の水準だった。


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2018年12月28日金曜日


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