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学問の魅力伝え出前授業1000回 東北大大学院の渡辺教授

二つのリンゴを使い、遺伝的多様性を保つ大切さを説明する渡辺さん

 東北大大学院生命科学研究科教授の渡辺正夫さん(53)が2005年度から実施している小学生と高校生向けの出前授業が1000回を超えた。育種学が専門の渡辺さんは、ネイチャー誌やサイエンス誌に論文を掲載する世界的な研究者。次の目標の1500回を見据え、学問の面白さを伝え続けている。

 仙台一高(仙台市若林区)で今月5日にあった出前授業。生物を選択する2年生33人を前に、国立大の入試にも出る「植物の自家不和合性」のテーマで講義した。
 自家不和合性は、被子植物が自己の花粉では受精に至らない現象。渡辺さんは花粉管が卵細胞に向かって伸びる様子の動画を見せ、この現象を利用した品種改良などを解説した。
 色の異なる二つのリンゴを示しながら「王林の花粉で受精したふじは、種は雑種になるが、君たちが食べている実は母親(めしべ)のパーツなのでふじになる」と説明すると、生徒から感嘆の声が上がった。
 秋葉陽介さん(17)は「遺伝の仕組みをその道の第一人者に分かりやすく教えてもらい、植物の見方が変わった」と感想を述べた。
 渡辺さんが出前授業を始めたのは、04年度まで在籍した岩手大の研究室を地元の児童が訪れたことがきっかけ。子どもたちは喜んで話を聞き、機器に見入った。05年度に移った東北大大学院では学生相手の講義の負担が少ないこともあり、大学と提携する仙台市教委の依頼で出前授業を始めた。
 出身地の愛媛県今治市からも招かれるようになった。青森県から沖縄県までの150校以上、約3万5000人に教えた。子どもから手紙をもらうと、必ず本人かクラス宛てに返事を書く。
 渡辺さんは「身近な所にある不思議を観察したり、論理的に考えたりする経験は、将来どんな分野に進んでも役立つ。ここから共同研究できる人材が育ってくれるとうれしい」と強調する。


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2018年12月29日土曜日


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