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<雄勝の濡れ盃>杯とぐい飲み、英博物館に収蔵「デザイン一流の証し」

英ビクトリア・アンド・アルバート博物館のコレクションに加わった「雄勝の濡れ盃」

 石巻市雄勝町特産の雄勝石で作った杯「雄勝の濡(ぬ)れ盃(さかずき)」が、芸術とデザインを専門とする世界的に有名な英ロンドンのビクトリア・アンド・アルバート博物館のコレクションに加わった。2019年1月にも展示される。開発者らは「宮城発の工芸品が世界の一流品として認められた」と喜ぶ。
 収蔵されたのは雄勝石を精密技術で削った平たい杯(直径10センチ)と深底のぐい飲み(同5センチ)の2種類。滑らかな質感で、水に触れると器が灰色から漆黒に趣を変える。保冷性に優れ、冷酒に適しているとされる。
 企画・開発に携わった堀切川一男東北大大学院教授(摩擦学)、機械部品加工のキョーユー(宮城県美里町)、工芸品販売のこけしのしまぬき(仙台市)、雄勝硯生産販売協同組合(石巻市)の4者が杯1組を寄贈。博物館と11月7日付で贈与証書、著作権合意書を取り交わした。
 宮城県のビジネスアドバイザーの英国人が4月、知人の博物館主任学芸員に杯を紹介。「精密な切削・研磨技術で作られた現代的なデザイン」「類を見ない黒い石の外観で、耐久性が高い」「東日本大震災で被災した雄勝町の復興支援で誕生した」などと説明した。
 6月に現物を送付し、7月、博物館が収蔵の意向を示したため必要な手続きを進めた。
 「雄勝の濡れ盃」は堀切川教授や大崎市の官民NPOなどが復興支援を目的に発案。16年に作られ、同年に仙台市であった先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の歓迎会で披露された。
 「宮城の産学官連携で生まれた製品を世界中から来る来場者に見てほしい」とキョーユーの畑中得実社長(69)。企画、販売を担うこけしのしまぬきの島貫昭彦社長(61)は「海外の方が石を素材にした杯に興味を持ち、被災地で誕生した物語まで知ってもらえればうれしい」と期待する。

[ビクトリア・アンド・アルバート博物館]芸術とデザインを専門分野とする博物館で、約5000年前から現在までの世界中の創作品230万点以上を収蔵。陶磁器、家具、衣装類、宝石、絵画などコレクションは多岐にわたり、質と内容で世界随一と評される。日本関連の収蔵品も数万点ある。1852年開館。通称V&A。


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2018年12月30日日曜日


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