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<減反廃止元年>19年産米、値崩れに警戒感 需給調整正念場に

 国による生産調整(減反)廃止元年となった2018年のコメ生産を振り返り、農業関係者が危機感を強めている。天候不良で作柄が「やや不良」となったことで過剰生産は避けられたものの、東北など主産地は作付面積が拡大した。19年産では、供給量増大による値崩れへの警戒感が広がる。(東京支社・小木曽崇)
 農林水産省が12月10日に発表した18年産米の作況指数(平年=100)は98の「やや不良」、主食用米の予想収穫量は732万7000トンで確定した。
 同省が昨年11月に示した適正生産量735万トンは下回ったが、面積は138万6000ヘクタールで前年比1万6000ヘクタール広がった。東北は1万1200ヘクタール拡大の34万5500ヘクタールだった。

<東日本 増産顕著>
 自民党農業基本政策検討委員会の小野寺五典委員長(衆院宮城6区)は「面積拡大は残念。14年産米の価格下落で、どれだけの農家が苦しんだか忘れてはいけない」と話す。
 11月末の委員会では西日本では増産県が少なく、東日本のコメどころでは多かったとの報告があった。中でも秋田は前年比5500ヘクタール増の7万5000ヘクタールと拡大幅が全国トップだった。
 中泉松司参院議員(秋田選挙区)は「肩身の狭い思いをしている。(集荷業者から)『買いたい』と言われ増やした生産者もいる」と現場の思いを代弁する。
 政府は生産者の販売戦略を重視し、減反廃止に踏み切った。増産する産地に対する視線は減反下と変わらず冷ややかだ。
 全国農業協同組合中央会(全中)も政府と同じく作付面積拡大への危機感を強める。18年産の適正生産量は、最後に減反が実施された17年産の生産数量目標と同じ735万トン。19年産の適正生産量は9万〜17万トン減の718万〜726万トンに設定された。需給調整の正念場となる。
 全中の金井健常務は「新たな仕組みに初めて本格的に移る。どの県がどの程度減らせばいいのだろうか」と苦悩する。

<「検証し計画を」>
 福島大の生源寺真一教授(農業経済学)はグラフのようにコメの消費量が毎年10万トン減る国内の状況を踏まえ「各産地は増産する場合、しっかりとした根拠を提示する必要がある。漠然とした予想で増やすと市場からあふれる可能性がある」と分析する。
 19年産の生産を控える産地に対しては「前年の販売見通しを検証した上で生産計画を作るべきだ。中食、外食業界が業務用米確保に苦労しており、事前契約を結ぶのは双方に利点がある」と提言する。


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2018年12月30日日曜日


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