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<東日本大震災>石巻「お茶っこバス」 在宅被災者つなぎ7年目

お茶っこバスのサロンで談笑する在宅被災者ら

 東日本大震災で被災した自宅に住み続ける石巻地方の在宅被災者に交流の場を提供する「お茶っこバス」の活動が、7年目に入った。サロンに仕立てたバスで被災各地を巡回し、車内で親睦を深めてもらう取り組みで、開催は800回を超えた。震災前のコミュニティーが失われつつある被災地で、被災者同士をつなぎ留める役割を果たす。

 石巻市湊町2丁目の遊休地に今月上旬、お茶っこバスが回ってきた。近くに住む70〜90代の男女6人が乗り込み、コの字形に並べられた座席に座る。談話スペースのような車内でコーヒーなどを手に約2時間、世間話に花を咲かせた。
 バスは毎月1回訪れ、高齢者6〜8人が参加する。車内はサロンのような構造で、カラオケ設備も備える。津波で全壊した自宅を修繕して暮らす佐藤いち子さん(93)は「近所の人と顔を合わせて話す場所は、ここしかない。一番の楽しみだ」と話す。
 お茶っこバスは、石巻を拠点に在宅被災者の支援活動を続ける一般社団法人「チーム王冠」が市のコミュニティー支援関連の委託事業として2012年度に始めた。事業は14年度で終了。16年度に復興庁の「心の復興」事業に採択され、活動を再開した。
 バスは名取市の中古車販売業者から借り、これまで石巻を中心に東松島市や女川町など宮城県沿岸部の80カ所以上で開催した。
 湊町2丁目は震災で約4メートルの津波に見舞われた。200世帯近かった町内会の会員は約50世帯に激減。地区一帯は、建物が流失したり撤去されたりして空き地が目立つ。町内会や老人クラブは休止状態で、地域の支え合いが機能しづらい状況となっている。
 各地の参加者からは「町内会が崩壊し、自宅に引きこもる人が増えた。少しでもつながりを取り戻したい」「仮設住宅には集会場があって催しも開かれているが、在宅被災者にはない。バスが来るのが楽しみ」などの声が寄せられている。
 在宅被災者向けに始まったお茶っこバスには最近、災害公営住宅の入居者も顔を出すようになった。被災者同士の付き合いが生まれ、交流が広がっている。
 チーム王冠の伊藤健哉代表理事は「災害公営住宅の中だけのコミュニティーづくりもうまくいっていない場合が多い」と指摘。「お茶っこバスは在宅被災者と災害公営住宅の住民が『近所付き合い』できる場所として、新たな役割が出てきている」と話した。


2018年12月31日月曜日


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