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津波で半枯れの「神木」薬師堂のカヤ守り継ぐ 樹勢回復工事へ住民準備

カヤの状態を樹木医とともに確認する住民たち

 東日本大震災の津波で被災し、半分ほどが枯れた七ケ浜町湊浜地区の「薬師堂のカヤ」を救おうと、住民が動きだした。樹齢700年以上と推定される地区のシンボルを次世代に引き継ぐため、来年秋の回復工事に向けて準備を進める。いずれ寄付などの協力を広く呼び掛ける考えだ。

 カヤは湊浜薬師堂のそばに立ち、高さ約25メートル、幹回り4.7メートル。平安時代の高僧、慈覚大師円仁(794〜864年)が手植えをしたとの言い伝えがあるが、幹回りから樹齢は700〜800年と推定される。近くに円仁が作ったとされる磨崖仏(非公開)もある。
 薬師堂の神木として昔から湊浜の人々に大切にされてきた。仙台港建設に伴い1974〜76年に住民が内陸側に集団移転した後も、周辺の草取りをするなど住民の心のよりどころになってきた。
 2011年の震災の津波で付近は約2メートル浸水した。カヤが立つ場所はやや高く幹は無事だったが、地中に根が広がる一帯が冠水。樹木の右半分が白く枯れた状態になった。
 震災から7年9カ月が過ぎて被災住民の生活再建が一段落したことから、町内会組織の湊浜区がカヤの復活を目指すことにした。樹木医で元県職員の沼倉啓喜さん(仙台市)に診断を依頼したところ、土壌改良や枯れ枝の剪定(せんてい)、周辺整備などで樹勢の回復が可能と分かった。
 23日に湊浜区の役員らが沼倉さんと現地を訪れ、カヤの状態を確認した。沼倉さんは「内陸側の半分は健全に伸びている。新たな根を出させ、日光を十分当てれば今後も生育は可能だ」と説明。「幹の太さ、樹齢、これほどのものはない。ぜひ残しておきたい」と強調する。
 施工費は210万円。町の補助と住民だけでの資金調達は厳しいが、工事に適した時季に入る来年秋の着工に向けて準備中だ。
 江口龍市区長は「地区を見守り続け、津波に耐えたカヤの木。私たちの代で枯らすわけにはいかない。子や孫の代に引き継ぎたい」と話す。


2018年12月31日月曜日


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