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亡き夫との夢、初売りで実現 「福袋」の絵本制作

絵本「ねずみくんのおくりもの」を手にする阿部さん(左)と土田さん

 仙台初売りで亡き夫との夢をかなえた。仙台市太白区の阿部昭子(あきこ)さん(63)は2017年1月2日、藤崎の企画型福袋に応募し、08年に亡くなった夫の恭嗣(やすつぐ)さん=当時(52)=と誓った絵本制作を実現した。「夫婦の願いや携わってくれた方々の思いがつながり、素晴らしい作品になった」と感謝する。
 12月上旬、藤崎本館(青葉区)5階の玩具売り場で絵本「ねずみくんのおくりもの」が発売された。原作は恭嗣さんが妻の誕生日を記念して作った童話だ。
 阿部さんは「昔から2人で絵本を作りたいと話し合っていた。もし子どもができたら、その子のために残したいね。やっちゃんが文章を書いて、私は絵を描こうかなって」と振り返る。
 藤崎は17年の初売りで、大切な人への思いを形に残してほしいと、福袋「世界にたったひとつの絵本をあなたに!」を企画した。仙台市出身で初売りに通い続けていた阿部さん。企画に目を留め、応募者の中から抽選で選ばれた。
 絵本の制作は鶴岡市出身の絵本作家土田義晴さん(61)=青葉区=が指導。恭嗣さんの世界を壊さないよう気を配り、子どもにも趣意が伝わるよう内容を練った。鉛筆の下書きを阿部さんがなぞって色を塗った。およそ半年後、完成した。
 主人公の「ねずみくん」は、大好きな「ねずみちゃん」の誕生日に何か喜ぶことをしてあげたいと思い立つ。困難に遭いながらも、必死に前歯で木の像を削ってプレゼントする。
 恭嗣さんは新潟県に生まれた。9歳で難病の筋ジストロフィーと診断され、親元を離れて太白区の病院に入院。身体障害者自立ホーム「仙台ありのまま舎」(太白区)の設立に関わり、34歳でボランティアだった阿部さんと結婚した。
 「障害は恵み。いろんな出会いがあり、いろんな体験ができる。神様はあきちゃんを与えてくれた」。恭嗣さんはそう受け止め、唇の動きで文字を入力するマウスで童話やブログの執筆を続けた。
 阿部さんは「この絵本が読んだ人の心を癒やし、生きる励みになればいい」と望む。土田さんは「恭嗣さんは懸命に生き、童話を書いた。命について考えるきっかけにしてほしい」と願う。
 B5変型判、33ページ。1296円。教育画劇(東京)発行。絵本制作の福袋は来年1月2日の初売りでも13万円で販売される(限定2人)。


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2018年12月31日月曜日


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