秋田のニュース

<雪と生きる>(1)とことん山・雪上キャンプ(秋田県湯沢市)/静寂の世界味わう

テントで焼いた鶏肉を食べる小松さん。煙突の付いたストーブにはオーブン機能もある
林間に張った円すい形のティピーテント。落雪に注意して場所を選ぶ必要がある

 北国に住む私たちにとって、雪は切っても切り離せない。暖冬の予報でも降る時には降るし、元日から雪かきや雪下ろしに追われている人もいるだろう。どうせなら雪を楽しみ、暮らしの中に生かしたい。そんな知恵や取り組みを、東北各地に探る。

 雪が降れば降るほど楽しい。「雪を踏み固めて、キャンプサイトを自分で作る。掘りごたつにもできるし、冬の方が自由度が高い」
 秋田県湯沢市皆瀬の市営とことん山キャンプ場のテント内で昨年12月15日、秋田県羽後町の会社員小松義明さん(39)が焼きたての鶏肉にかぶりついた。「まるで秘密基地。テントで飲み食いすれば良さが分かる」
 雪上キャンプは雪中キャンプとも呼ばれ、近年人気が高まっている。とことん山がある皆瀬地域は通年営業する国内のキャンプ場の中でも屈指の豪雪地。この日1メートル程度だった積雪は、最大2メートルを超える。大みそかは最も利用者が多く、20組以上が年越しをする。

<上級向け>
 とはいえ初心者向けではない。吹雪に見舞われることもあり、自力での除雪が必須。本格テントにインナーの重ね着が欠かせない。
 1年間に30日はテント泊をする「ハードキャンパー」の小松さんが好むのは1本のポールで支えるティピーテントだ。通気口があるため、小型ストーブを設置できる。雪の上にシートや毛布を敷かなくても「ストーブとコット(簡易ベッド)を使えば寒くない」と話す。
 スキーから雪上キャンプへ−。キャンプ場の指定管理を担う皆瀬村活性化センターは今季、雪上キャンプの営業に力を入れ始めた。これまでも通年営業していたが「(キャンプ場から)徒歩1分でスキー場」と宣伝してきた市営小安温泉スキー場が昨季限りで廃止され、冬のキャンプに活路を求めた。
 秋田県外からの誘客に狙いを定める。岩手、宮城、山形の県境に近い地理的環境を生かす。駐車場ではこの3県のナンバーが目に付く。

<輝く夜空>
 アウトドア総合用品メーカーのスノーピーク(新潟県三条市)の協力を得て、雪上キャンプ向けのテントや器具の貸し出しを2月にも始める。1泊2日で「モニタースノーキャンプ」を開き、冬のキャンプのこつを伝える。
 キャンプ場スタッフの麻生文明さん(38)は「夏と客層が異なり、現状では冬は1人客が多い。敷地内のコテージなどと組み合わせて、家族で来てもらえるようにしたい」と意気込む。
 小安峡温泉の源泉から引く露天風呂は他のキャンプ場にはない魅力と言える。雪質もキャンパーからの評価が高い。スキー場に近かっただけにパウダースノーでべとつかない。
 テント1枚で厳しい自然と向き合う体験は、日常では決してできない。雪が雑音を吸収し、とても静かだ。澄んだ冬の夜空はまぶしいほどに星が輝くという。
(横手支局・野内貴史)

 [湯沢市営とことん山キャンプ場] 年中無休。利用料は大人820円、小学生以下410円。秋田自動車道横手インターチェンジから車で約1時間。キャンプ場に至るルートのうち国道398号は栗原市花山−湯沢市皆瀬間(27.2キロ)が4月下旬まで冬季閉鎖。連絡先は同キャンプ場0183(47)5241。


関連ページ: 秋田 社会

2019年01月01日火曜日


先頭に戻る