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<2019東北経済展望>発信力高め新産業創出を/日本政策投資銀行東北支店長 佐野成信さんに聞く

<さの・しげのぶ>北海道大卒。1989年旧北海道東北開発公庫入庫。日本政策投資銀行東北支店東北復興支援室長、同行審査部担当部長などを経て2017年東北支店長。52歳。福岡市出身。

 東北経済の成長の道筋を確かなものにするには、事業承継などの課題解決や新たな視点による産業創出が欠かせない。その方策を日本政策投資銀行東北支店の佐野成信支店長に聞いた。(聞き手は報道部・高橋一樹)

 −東北の景況の現状と今後をどう分析する。

 「世界経済が成長する中、東北も緩やかな回復を継続した。集積が進みつつある自動車や半導体関連など製造業の輸出がけん引し、設備投資計画も高い伸びを示した。米中貿易摩擦といった不透明要因もあり、2019年以降のスピードは減速するが、回復基調は変わらないだろう」

 −震災と東京電力福島第1原発事故からまもなく8年。産業復興への道筋は。

 「成長を支えた復興需要が減退し、新しい産業の創出がますます求められる。製造業はもちろん、農林水産業で豊富な資源を生かすことも重要。林業では環境に配慮した木造建築が世界に普及している。需要に応える国産材を供給できるかどうかがポイントになる」
 「地域経済を支える中堅・中小企業で経営者の高齢化が全国を上回るペースで進み、事業承継が大きな課題だ。資本面や信用力、設備投資に弱さがあり、リスクマネーの供給も有効だ」

 −人手不足にどう立ち向かう。

 「物流の効率化が重要になる。情報技術が発展しても、誰かが物を届ける行為は残る。今までは各企業が在庫をなくすことに労力を費やしていたが、人手が少ない中で協業や拠点化を進めていかなければならない」

 −訪日外国人旅行者(インバウンド)は拡大が続く。

 「東北の空港と海外を結ぶ定期便やチャーター便は着実に増えている。当行の調査では、東北への訪問経験者は日本に来てからプランを決める人が多く、空港や駅での情報発信のインパクトが必要だ」
 「釜石市などでラグビーワールドカップが開かれる9〜10月は、インバウンドに人気の紅葉の時期でもある。観戦客は多くが長期滞在すると言われ、東北の周遊型観光にはチャンスがある。魅力に触れる機会をつくり、また来たいと思わせる地道な努力を続けたい」

 −東北の成長への鍵は。

 「キーワードは『発信力』。観光資源や勤勉で技術力の高い労働力など他の地域に負けない高い付加価値を持っているが、知られていない。産学官金が連携して発信を強めたい」


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2019年01月03日木曜日


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