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<東松島湿地再生>被災住民の心癒す役割期待

カモやサギが訪れる洲崎湿地の様子を確認した観察会=2018年12月15日

 宮城県東松島市野蒜地区一帯は、東日本大震災で甚大な被害を受けた。市が乗り出した洲崎(すざき)湿地の再生事業は、環境教育や交流人口の拡大に加え、心の復興を促進させる役割も期待される。

 「生活再建が終わって気持ちが落ち着き、ようやく湿地にも目が向いてきた」。野蒜まちづくり協議会会長の菅原節郎さん(68)が地域住民の思いを代弁する。
 震災前の洲崎湿地は、奥松島運動公園に行くと当たり前のように目に入る光景だった。寒くなると白鳥が飛来した。菅原さんは「季節を感じる湿地で、癒やしの風景そのものだった」と振り返る。
 水中にはメダカやシラウオ、ビリンゴなど小魚が生息する。同市出身で「貞山・北上・東名運河研究会」代表世話人の後藤光亀さん(67)=仙台市青葉区=はこうした生き物を観察し、独自の環境調査を重ねる。
 課題もある。水中の酸素量を測ると、水路の調査地点では水深20センチで酸素がほとんどなくなる状況が判明。後藤さんは「魚にとって厳しい環境。水の交換ができていない」と指摘する。
 昨年3月、住民らと「野蒜塾」を発足させ、生き物に関する調査結果を共有。野蒜地域で生息域を広げる外来種の植物を駆除したり、被災したJR仙石線の廃線跡地を歩くイベントを企画するなど地域資源を掘り起こす活動も展開する。
 後藤さんは「震災後も生き物が残っているのに感激した。『奇跡の湿地』と言える。住民の記憶や経験を生かしながらデータを集め、湿地や周辺に残る地域の宝を発信したい」と語る。


2019年01月04日金曜日


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