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東松島・野蒜「奇跡の湿地」再生へ 震災後も渡り鳥飛来、環境教育に活用

住民や生き物の憩いの場として再生が期待される洲崎湿地

 宮城県東松島市が、東日本大震災で津波被害を受けた同市野蒜の洲崎(すざき)湿地を環境教育の場として活用する再生事業に乗り出した。震災後も渡り鳥が飛来するなど希少な自然環境が確認されており、生態系の調査を経て2020年度の整備完了を目指す。住民らは「奇跡の湿地」と呼び、慣れ親しんだ水辺空間の復活を願う。

 洲崎湿地は被災した旧奥松島運動公園の南にあり、地元では「洲崎沼」とも呼ばれる。淡水と海水が混ざった汽水域が約5ヘクタールにわたって形成されている。津波で防潮堤が決壊し、一帯の環境は激変したものの、野鳥や魚、水中生物が再び見られるようになった。
 市は、湿地に接する宮城県松島自然の家の被災跡地を含む約20ヘクタールに水辺空間を整備する方針。昨年6月に湿地再生基本計画の策定や環境調査業務をプロポーザル方式で公募し、一般財団法人C・W・ニコル・アファンの森財団(長野県)など3者に委託した。
 同財団は震災後、旧野蒜小と旧宮戸小が統合した宮野森小の学校づくりを支援した。同じ野蒜地区にある湿地に11年から着目し、昨年1月には湿地を教育と観光に生かす拠点づくり事業を市に提案していた。
 委託業務には英国の環境保護団体「野鳥湿地協会(WWT)」が協力。アファンの森財団によると、WWTが日本で湿地の監修をするのは初めて。既に専門家が現地を訪れ、住民がどのように水辺に親しんできたかを聞き取り、湿地にカヌーを浮かべて調査した。
 市は20年度の完成に向け、水辺エリアを広げたり平屋の施設を整備したりする予定。管理運営は民間が担う手法を模索している。
 市政策事業推進室の森祐樹室長は「地域と一緒に湿地の再生を進め、住民や生き物たちに憩いの場として愛してもらえる場所を整備したい」と話す。


2019年01月04日金曜日


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