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<カフェ・デ・モンク>傾聴で支え合う社会を 栗原の金田住職が出版、被災者との接し方収める

被災地での活動や知見を収めた「傾聴のコツ」
金田諦応さん

 東日本大震災の被災地で傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」を主宰する通大寺(栗原市)住職の金田諦応さん(62)が、これまでの活動と知見をまとめた新書「傾聴のコツ」(三笠書房)を出版した。移動喫茶でのエピソードを振り返り、傾聴をする上での姿勢や心構えなどを収めた。
 (1)相手の話に共感すること(2)相手の物語を受け入れること(3)身近な人を幸せにすること(4)他人との境界線をなくすこと(5)自分をもっとよく知ること−の全5章で構成。聴き手としてのあるべき姿を説いた。
 移動喫茶での体験談や被災者とのやりとりを、各章に挿入。方言や冗談を織り交ぜて心を通わせていく場面などを通じ、現場の雰囲気や傾聴の奥深さを知ることができる。
 傾聴の極意を「慈悲の心」と断言。価値観の押し付けや安易な「分かるよ」の一言が時に失望を招くと指摘し、相手が抱える物語を時間をかけて共有する過程こそが重要とした。
 「自分の会話を録音してみる」「伴走するけど背負わない。自分ができる範囲を明確にする」など、傾聴を始めるに当たっての準備や継続する上での注意点も伝授。壁に直面した際に参考になるアドバイスも数多く盛り込んだ。
 金田さんは震災直後から県内の沿岸部などで、宗派を超えた移動喫茶を実施。「修道者(monk(モンク))があなたの文句を聞いて一緒に悶苦(もんく)します」を合言葉にした活動は共感を呼んだ。現在は熊本や北海道の地震の被災地などで、仲間の僧侶らが同様の取り組みを行っている。
 「3.11で宗教者としてのフレームが一度壊れたが、あの日があったからこそ人との向き合い方を見詰め直せた」と金田さん。「傾聴は大変かもしれないが、学びも多い。身近な人々同士が互いの声に耳を傾け、慈しみ、支え合える社会になってほしい」と語る。
 A6判、212ページ。680円。連絡先は三笠書房03(5226)5734。


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2019年01月06日日曜日


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