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<津軽烏城焼>苦難乗り越え22年、長さ103mの登り窯完成 陶芸家今井さん「支援に応える作品生む」

登り窯の完成を喜ぶ今井さん
斜面の上から見た登り窯。手前の焼成室が最後に完成した

 青森県黒石市で「津軽烏城(うじょう)焼」の工房を構える陶芸家、今井理桂(りけい)さん(71)が12月、全長103メートルの登り窯を完成させた。病気や資金難で中断した時期があったが、苦難を乗り越え22年で完成にこぎ着けた。今井さんは「世界最長の登り窯を築くことができた。応援してくれた人たちのために、これからも意欲的に作品を作っていく」と張り切る。
 津軽烏城焼はうわぐすりを使わない「自然釉(ゆう)」の焼き物。窯の中で燃やしたアカマツが灰となって陶器に積もり、さらに高温に熱されることで灰が溶けて模様となる。今井さんは「窯から出してみないとどんな物になるか分からないところが魅力」と話す。
 登り窯は斜面に小さな焼成室を連ね、炉内を高温に保てるよう工夫された窯。完成した登り窯は52の焼成室を有し、大小約6000点を焼くことができる。長い窯で長期間灰をまとうことによって「誰も見たことがない焼き物になるだろう」と今井さんは言う。
 今井さんは平川市出身。大学卒業後、民間企業に勤めたが、鎌倉時代の常滑(とこなめ)焼(愛知県常滑市)に感銘を受け脱サラし、26歳で陶芸の道に入った。昔の焼き物を超える作品を生み出したいと考え、登り窯作りを決意。1985年に栃木県足利市で70メートル、89年に新潟県柏崎市で100メートルの登り窯を築いた。
 90年に故郷の津軽に戻り、弘前市に工房を構えた。96年に工房を黒石市に移し、窯作りを開始。当初は5年ほどで完成予定だったが、資金難などで作業は思い通りに進まなかった。
 さらに2005年冬、雪の重みで窯を覆う建屋の屋根がつぶれた。周囲の支えで再開したが、11年に大腸がんが見つかった。手術、闘病を経て窯作りを再開した直後、今度は腎臓がんを発症。退院後も資金難で窯は94メートルで止まっていた。
 昨年3月、長女の土屋美奈さん(35)=千葉市=が父の夢をかなえようと、インターネットで大勢から資金を募るクラウドファンディングを提案。9月までに目標額を30万円上回る530万円が集まった。資材を購入し窯作りを再開し、ようやく完成した。
 今井さんは「後押ししてくれた家族、支援者のおかげ。今までを超える作品を作らなければいけない責任を感じる。どんどん新しいものを生み出していきたい」とさらなる意欲を見せる。


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2019年01月07日月曜日


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