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<雪と生きる>(6完)只見ふるさとの雪まつり(福島県只見町)/厄介者で幻想世界

祈願花火と照明が雪像を照らし、幻想的な世界が広がる雪まつり。左奥が大雪像「鶴ケ城」=2018年2月(福島県只見町提供)
大雪像などに使った雪を特殊シートで覆った雪室=2018年3月末(町提供)

 北国に住む私たちにとって、雪は切っても切り離せない。暖冬の予報でも降る時には降るし、元日から雪かきや雪下ろしに追われている人もいるだろう。どうせなら雪を楽しみ、暮らしの中に生かしたい。そんな知恵や取り組みを、東北各地に探る。


 福島県の西南、新潟県と接する只見町は国内有数の豪雪地帯だ。多い時で積雪は3メートルを超える。そこで暮らす人にとって、雪は厄介者。だが「人を笑顔にすることもできる」と気付いたのも町民だった。
 「只見ふるさとの雪まつり」は毎年2月第2週の土・日曜に開催され、今年で47回を迎える。JR只見駅前広場を会場に大雪像と照明、花火、多彩なイベントで幻想的な世界を演出する。
 奥会津の雪まつりの中でも歴史は古く、規模は群を抜く。人口約4200の町に昨年は前夜祭を含む3日間で延べ2万3000人が訪れた。

<職人の技>
 メインの大雪像は毎年テーマを設ける。昨年は戊辰戦争150年に合わせて鶴ケ城(会津若松市)を作った。高さ12メートル、幅30メートル。頂上に「しゃちほこ」も施し、迫力と完成度の高さは多くの人を魅了した。
 会場コーディネーターで町商工会副会長の小沼信孝さん(58)は「回を重ねるごとに、来場者の反応に対する楽しみが増している」と言う。
 会場作りは約1カ月かかる。重機で会場を踏み固めて「10トンダンプ1000台分」(小沼さん)の大雪像用の雪を町内から搬入。雪の山を測量し、詳細に作る設計図通りに手作業で削り出す。作業は地元の建設会社、大工、左官ら約20人が担う。時に悪天候と闘いながらの、まさに職人技だ。
 雪の役目はまつり閉幕後も続く。3月下旬、大雪像などで使った高さ10メートルほどの雪の山に特殊シートをかぶせ、雪室にする。

<天然冷蔵>
 日本酒や焼酎、コメ、みそ、野菜などを貯蔵。6月の「雪むろまつり」で取り出して販売する。雪むろまつりは今年で5回目を迎える。湿度約90%、温度は零度を保つ天然の冷蔵庫を、観光客が落ち込む春の大型連休後の誘客につなげる狙いだ。
 味がまろやかになるという酒など一部は商品化されたが、取り組みは途上。実行委会長の酒店経営吉津年浩さん(42)は「認知度を高め、町ににぎわいをつくりたい」と意気込む。
 雪まつりは当初、建設業者の冬場の仕事確保の側面もあった。通年の業務が当たり前になった現在は、従業員の高齢化と後継者不足が、まつり継続に直結する課題になっているという。
 雪まつりでは、住民も町内各所でミニ雪像を作る。小沼さんは「まつりは町全体で盛り上げるのが理想。今後も末永く続けられるよう工夫したい」と話す。
(会津若松支局・玉應雅史)

[只見ふるさとの雪まつり]今年は2月9、10日開催(8日に前夜祭)。大雪像は北海道「赤れんが庁舎」。2011年の新潟・福島豪雨で町が被害を受けた際、支援を受けた恩返しとして北海道地震の被災地にエールを送る。自由なメッセージを読み上げる祈願花火(有料)受け付けは1月25日まで。連絡先は実行委0241(82)5240。


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2019年01月07日月曜日


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