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出版社依頼で昇任試験問題集執筆 警察官467人に1億円超

 警察庁と17道府県警の警察官が、昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受け、問題や解答を執筆して現金を受け取っていたことが西日本新聞の取材で分かった。企業の内部資料によると、1500万円超を最高額に過去7年間で467人に約1億560万円が支払われていた。取材に対し複数の警察官が現金授受を認め、一部は飲食接待を受けたことも認めた。識者は「公務員には副業制限があるうえ、特定業者の営利活動に協力するのは不公正」と指摘する。

 この企業は「EDU−COM」(エデュコム、東京)。関係者によると、内部資料は同社が作成した2010年1月〜17年3月の支払いリスト。警察官467人の氏名や執筆料、支払日が記され、ほとんどが警部以上の幹部だった。執筆料は、階級に応じた単価にページ数を掛けて算出していた。
 最高額は大阪府警の現職警視正で、7年間に1万8778ページ分執筆していた。このほか出向中の宮城県警警視正と京都府警の警視がそれぞれ約500万円、千葉県警の警部が約317万円など。複数年執筆し、50万円以上を受け取った警察官は41人で合計額は約8150万円に上った。
 公務員の副業は原則禁止されている。警察庁と各警察本部に情報公開請求したところ、いずれも副業許可は出ていなかった。地方公務員法(兼業の禁止)などに抵触する恐れがあるが、警察庁などは「個別の事柄についてはコメントを差し控える」と回答した。
 取材に対し、複数の警察官が「小遣い稼ぎだった」「上司から頼まれて断れなかった」と認めた。同社側もいったんは事実関係を認めたが、その後は「個人のプライバシーに関わるので、これ以上は答えられない」と取材を拒否した。
 同社のホームページには「法律のスペシャリスト」が問題集を作成しているとあるが、関係者は「警察内部の通達や規定は公表されないことが多い。捜査など実務に関する設問を自前で作るのは難しく、警察官に頼んでいた」と証言した。
 同社は09年設立。昇任試験の対策問題集を毎月発行し、全国向け「全国版」と、大阪や福岡、宮城など10道府県警に特化した「県版」がある。市販はしていない。民間調査会社によると、社員数は20人程度。販売部数は不明だが、年商は数億円とみられる。
 昇任試験は基本的に、巡査部長、警部補、警部の3階級で各県警が毎年実施する。警視への昇任は選考だが、人選のため筆記試験を行う警察もある。

<悪質な小遣い稼ぎ 田中孝男九州大大学院教授(行政法)の話>
 公務員が特定業者の営利活動に協力するのは不公正だ。公務員は職務専念義務があり、公務に支障を来しかねない副業は制限されている。勤務時間外でも無許可で反復・継続的に執筆していれば、国家公務員法や地方公務員法に抵触する恐れがある。今回のケースは頻度や報酬額からみて小遣い稼ぎの要素が強く悪質だ。執筆料が年間20万円を超えていれば確定申告が必要で、仮にしていなければ脱税だ。


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2019年01月08日火曜日


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