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<私の元年>新時代に誓う(7)子どもたちを笑顔に

「遊び」を通し、子どもたちにミュージカルを教える渡辺さん

◎ミュージカル演出家 渡辺リカさん(48)=仙台市=

 子どもたちの笑い声や歓声があふれていた。仙台市青葉区北山1丁目のスタジオSTEP(ステップ)。ミュージカルを学ぶ小学生たちが通う。
 「一緒にやってみよう」。指導するのは代表の渡辺リカさん(48)。STEPが市内で年に1度公演するミュージカルの振り付けや脚本、演出を担当する。
 「遊ぶ」ことが第一で、型通りの指導はしない。子どもと同じ目線で話し掛ける。モットーは「遊びを通して自然な形で子どもの個性を引き出す」。最初は恥ずかしがる子どもも、いつの間にか元気にはしゃぎだす。

 渡辺さんは東日本大震災の被災3県の自治体で、子どもたちが参加するミュージカルも手掛ける。STEPを運営する「プランニング開」(仙台市)などが震災後、「子どもの笑顔・元気プロジェクト」を始めたのがきっかけだ。
 「どこも沈んでいる。子どもたちの笑顔もない」。被災地の慰問先で常々感じていた渡辺さん。接点のあった名取市に呼び掛け、2011年8月に地元の子どもたちによる市民ミュージカルを上演した。
 踊り、歌うことで子どもたちが笑顔になり、親も大人もほほ笑んでいた。
 渡辺さんは確信した。「子どもの笑顔は地域全体を明るくする」

 それ以降、年に3〜4回、気仙沼や南三陸、いわき、釜石などでミュージカルを展開する。「風化が進む状況にあらがい、被災地の大人も子どもも元気にしたい」。年頭、復興を感じられる日まで続けていく決意を新たにした。
 プランニング開の新田新一郎代表(63)は「目指すのは単にうまさを表現するのではなく、被災地を元気にするミュージカル。実現のため、子どもと本気で向き合っている」と評価する。
 今月27日には山元町で、亘理町の児童も加えた公演がある。
 練習は3日間。短期勝負だが、「一瞬を楽しんで、子どもたちに笑顔になってほしい」。渡辺さんの願いだ。
(報道部・山口達也)

[メモ]仙台市生まれ。宮城教育大卒。仙台市内のアートアトリエに勤務後、英ロンドンでコンテンポラリーダンスを学ぶ。帰国後の97年、遊び塾「アトリエ自遊楽校」などを運営するプランニング開にスタッフとして加わる。16年4月からSTEP代表。


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2019年01月09日水曜日


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