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<私の元年>新時代に誓う(8)絆確かめ合う場守る

水かぶり行事開催をPRするわら人形の前に立つ菅原さん。ユネスコ登録を機に、過疎のまちの小さな行事を守る決意を新たにする

 新しい時代が春に始まる。少し特別な年明けに、きりりとした気持ちで飛躍を誓う人たちがいる。大舞台への挑戦、古里の再生、祖国との橋渡し。思い思いの夢を目指してスタートラインに立つ。

◎米川の水かぶり保存会長 菅原淳一さん(62)=宮城県登米市=

 「先人が伝承してきた神様と人々が触れ合う地域の素朴な行事が世界に認められた。大切な宝物として続けていきたい」
 昨年11月29日、登米市東和町に伝わる火伏せ行事「米川の水かぶり」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録が決まった。喜びに沸く登米市役所で、水かぶり保存会長の菅原淳一さん(62)は晴れ晴れとした表情で語った。
 「男鹿のナマハゲ」など全国8県10件の行事で構成される「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つとしての登録。行事がある来月2日は「ユネスコ登録元年」を祝う特別な日となる。
 水かぶりは毎年2月の初午(はつうま)の日に行われ、約800年の歴史があるとされる。
 担い手は米川五日町地区に住む男衆約20人。顔をかまどの灰で真っ黒に塗りつぶし、わら装束をまとい、地元の寺にある「秋葉山大権現」に参拝。ここで「火の神の化身」となって家々を回り、軒先に用意されたおけの水を屋根に勢いよく掛けて、防火を祈願する。
 菅原家は代々、神様の世話役と行事の指揮を執る「水かぶり宿」を務める。行事は昔で言う元服、数え15歳前後に達した男子を、大人社会へと受け入れる地域の通過儀礼でもあった。
 「縄ないやしめ縄作りなどの技術を年長者から教わり、自分の装束を作って参加するのが習わし。地域の共同作業に参加する自覚を持たせ、人々の絆を確かめ合う場でもあった」と、菅原さんは行事の大切な意味を語る。
 五日町地区は約100世帯260人。市内でも少子高齢化が進む地域だ。
 行事に地区以外の人が参加すると火難が起きると言われる。だが、近年は担い手不足のため、小学校高学年の男子児童や市外に住む地区出身者にも間口を広げる。
 菅原さんは「人口が減り続けるのは寂しい限り。伝統にのっとって原則を崩さず、続けていける方法を模索したい」と前を向く。
 米川公民館の鎌田一束(いち だ)館長(61)は「地区の人々が一生懸命守りながらPRしてきたからこそ、世界に認められ、ユネスコ登録が実現できた。地域の誇りを今後も支えていきたい」と目を細める。
(登米支局・小島直広)

[メ モ]水かぶり行事は2月2日午前9時半〜午後11時半、登米市東和町米川地区。大慈寺から本隊が出発し、五日町、仲町、元町など旧街道の家々に水を掛けて回る。鹿踊りなど市内の伝統芸能の披露もある。付近に無料駐車場、シャトルバスの運行も。連絡先は市東和総合支所0220(53)4111。


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2019年01月10日木曜日


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