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<岩手・大槌町旧旧庁舎>立ち入りに町長難色 遺族要望「最後の機会」

旧庁舎への立ち入りを求めて要望書を提出する倉堀さん(左)

 東日本大震災の津波で岩手県大槌町職員だった兄健さん=当時(30)=が行方不明になっている倉堀康さん(35)が9日、近く旧役場庁舎本体の解体工事に着手する方針を表明した平野公三町長と面会した。
 解体前に遺族や町民の建物内への立ち入りを認めるよう求めたが、平野町長は安全を確保できないとして実現は難しいとの考えを示した。
 倉堀さんは面会後「最後のチャンスだと思う。震災を後世に伝えるためにも中に入り、津波の痕跡を目にして脅威を感じ取ることが重要」と話した。
 旧庁舎解体の是非を巡って賛否が割れる町内にあって、倉堀さんは解体を主張している。
 ただ、他の職員遺族と交流を続ける中で「肉親の最期の状況が分からず、割り切れない思いを抱いている人が多い。旧庁舎の中で最後のお別れができれば、踏ん切りをつけられる」と考えるようになった。
 「遺族に限らず、保存を求める人を含めて町民それぞれに旧庁舎への思いがあり、立ち入りには意義がある」と語る。
 旧庁舎保存を願う職員遺族とも「二度と悲劇を繰り返してはいけないという思いは共通している」と強調し、平野町長のかたくなな態度に疑問を呈した。
 町による震災伝承の取り組みが不十分と感じる倉堀さんは「つらいかもしれないが、平野町長や現役の職員にも旧庁舎の中に入ってほしい。震災とこれからの防災に改めて向き合う機会になるはずだ」と訴える。


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2019年01月10日木曜日


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