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<震災7年10カ月>福島・葛尾村で生乳出荷再開 安全な製品目指し検査重ねる

集乳車のタンクに生乳がたまる様子を見守る佐久間さん(右)
飼育する乳牛に声を掛ける佐久間さん

 東京電力福島第1原発事故の避難区域だった福島県葛尾村で11日、7年10カ月ぶりに生乳の出荷が再開された。昨年9月に酪農を再開した佐久間牧場の佐久間哲次さん(42)は「やっとスタートラインに立てた。安心安全な牛乳をつくりたい」と声を弾ませた。
 午前10時、集乳車が牧場に到着した。「久しぶりだね」。握手を求めてきたのは、あの日と同じドライバーだった。
 東日本大震災が起こることになる2011年3月11日の朝、集乳に訪れた担当者。佐久間さんは「懐かしいな」と漏らし、笑顔で右手を差し出した。
 再開初日の出荷量は735リットル。東北協同乳業(本宮市)で牛乳やヨーグルトとなり、県内外で販売される。原発事故前の1日の出荷量2700リットルより少ないが、「搾乳できる経産牛が増えれば、2月にも今の倍になる」と前を向く。
 葛尾村の避難指示は16年6月、帰還困難区域を除いて解除された。生乳の出荷制限解除はその半年後。さらに2年近くを経て、佐久間さんは酪農を再開。県などによる昨年10〜12月の全16回の検査で、放射性物質が検出されず、国が出荷を認めた。
 佐久間さんは「大安」の11日を出荷再開日に選んだ。県内の旧避難区域の生乳出荷再開は17年1月の楢葉町、18年3月の川俣町山木屋地区に続いて3例目。
 「避難地域だった場所だからこそ気を抜かずに放射性物質の検査を続け、心配を払拭(ふっしょく)しなければならない」。ほっとした様子で集乳車を見送ると、佐久間さんは再び表情を引き締めた。


2019年01月12日土曜日


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