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<東京検分録>政治とマーケティング/長期的な政策磨く手段に

 政治の現場で、マーケティングの活用が注目されつつある。
 大阪府知事と大阪市長を務めた橋下徹氏は近著「政権奪取論」で、有権者を引きつける選択肢を示すため野党にマーケティングの実践を提言した。自民党の小泉進次郎衆院議員は、民間企業の実務経験者を秘書に起用したことで知られる。
 日本マーケティング協会(東京)によると、マーケティングの定義は「企業や組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」。政治活動でも参考になる考え方だが、「顧客(国民)との相互理解」の不足は否めない。
 政治家は一方的にお題目を唱えるばかりで、民意を科学的に分析し政策を立案するボトムアップが貧弱ではないか。
 早稲田大の野口智雄教授(マーケティング論)は、巧みな例としてトランプ米大統領を挙げる。「アメリカ・ファースト(米国第一)を国内外に強く打ち出し、ステータスを国民に満足させる。政策的には喜ばれる減税。結果にコミットするため、実業家ならではの徹底的なビジネスの発想」と説明する。
 翻って日本。人口減少や持続可能な社会保障、財政健全化など国家の危機につながる課題は誰もが認識しているのに、政治は将来世代にツケを回し続ける。
 野口氏は政治家の胆力を問う。「国民を説得する努力が重要。及び腰にならず、具体的な数字で実現可能性をシャープに提案する。一時的に猛反発されても長い目で見れば未来への安心感につながるはずだ」
 マーケティングの活用については「国民生活や税負担、安全保障といった政策分野にきちんと入り込むメカニズム構築が必要だ」と言う。選挙で勝つという目先の目標ではなく、国民のニーズに即した長期的な政策を磨くツールであるべきだとの指摘だ。
 一方で懸念もある。トランプ氏が勝利した米大統領選。巧みなプロモーション戦略や情報操作といったマーケティング重視の手法で世論を誘導したとされる。
 未来を見据えた政策か、単なる人気取りか。私たち有権者も事実に基づいた冷静な審査眼を持つ必要がある。
(東京支社・瀬川元章)


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2019年01月14日月曜日


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