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<震災遺構>「荒浜小」防災教育に活用 宮教大院生、指導書と教材作成へ

指導書の内容を説明する高見さん(中央)と大林さん(右)

 仙台市若林区の震災遺構「荒浜小」を防災教育に生かそうと、宮城教育大の大学院生が小中学校の教員向け指導書と教材の作成を進めている。指導書は被災した校舎の見学を軸に、荒浜小を活用した授業の具体的なプランを例示し、3月の完成を目指す。市教委は新年度、全小中学校183校に指導書などを配布し、防災教育の充実を図る。
 作成するのは、教職大学院1年の高見秀太朗さん(23)と大林要介さん(22)。昨年6月に荒浜小を視察し、事後研修で教材作りに取り組むことを決めた。
 指導書は現段階で(1)荒浜小を見学し、地域防災の課題を調べてリーフレットを作る(2)避難訓練や運動会などの学校行事に荒浜小を取り入れる(3)各教科の授業で荒浜小に触れる−などの活用法を紹介する内容となっている。
 児童、生徒向けのワークシートも作る。荒浜小を見学し、ガイドらの説明を聞き「地震の後、先生たちは昇降口で何をしたのだろう」などの問いに回答を記入してもらう。
 荒浜小で市教委の担当者やガイドらが16日、指導書などの内容について意見交換した。高見さんは「命を守るため何をすべきかと、震災前は荒浜に暮らしがあったことが伝わるよう工夫した」と説明した。
 震災当時、荒浜小教諭だった市教育センターの阿部淳一主任指導主事(55)は「児童のほぼ全員が助かったのは、津波を想定した避難訓練を重ねていたから。自助や事前の準備の重要性を強調してほしい」と求めた。
 市によると、本年度に荒浜小を訪れた市内の小中学校は昨年12月末現在、18校にとどまり、遺構の活用促進が課題となっている。
 指導書とワークシートは、3月10日の仙台防災未来フォーラムで完成報告する。宮教大はホームページに掲載し、全国の小中学校が活用できるようにする。
 2人を指導する小田隆史准教授(地理学)は「学校遺構を残す動きが被災地に広がっている。荒浜小の指導書や教材が良い先行例になればいい」と期待する。

[震災遺構「荒浜小」]東日本大震災の津波で4階建て校舎の1、2階が浸水した仙台市若林区の小学校。児童、教職員、住民ら計320人が屋上に避難し、救助された。2016年3月に閉校し、市は17年4月に震災遺構として一般公開。1、2階の教室や廊下には津波の爪痕が残り、4階では映像などで被害状況を伝える。見学自由。開館は午前10時〜午後4時。


2019年01月17日木曜日


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