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<週刊せんだい>杜の都の漫画家(2)若者の心をわしづかみ/虎哉孝征さん、みきもと凜さん

虎哉さんが作画を手掛けている「機動戦士ムーンガンダム」の単行本
「名取市の自宅で描いているが、仕事に支障はない。夕方に起床する夜型の生活を送っている」と話す虎哉さん=河北新報社
みきもとさんの単行本
店内の装飾にも力を入れ、個性的な店作りが光る喜久屋書店仙台店=仙台市青葉区

<憧れのガンダム描く>
 男性を中心に人気を誇るアニメ「機動戦士ガンダム」。そのスピンオフ作品として、名取市の虎哉孝征さん(45)は現在、月刊の漫画誌「ガンダムエース」に連載中の「機動戦士ムーンガンダム」(ストーリーは福井晴敏さん)の作画を手掛けている。
 同作は「機動戦士ガンダムZZ」に登場したスペースコロニーを題材にした作品。機械文明を捨てた人たちが暮らす「ムーン・ムーン」を舞台に、地球連邦軍とネオ・ジオン軍の争いに巻き込まれた光族の少年らの奮闘を描いている。
 現在、単行本は2巻まで発行。親しみやすい絵柄と迫力のあるメカや宇宙空間の描写、臨場感のある構図で読者を引き付けている。
 虎哉さんは宮城工高卒。1993年に日本ビジネススクール仙台校(現日本デザイナー芸術学院仙台校)を経て、アルバイトをしながら漫画誌に投稿。98年に「月刊アフタヌーン」の四季賞を受賞し、デビューした。苦節の時期もあったが、2004年に太平洋戦争末期を舞台にした福井さんの小説「終戦のローレライ」の漫画化などに取り組み、漫画家としての地歩を固めた。
 「少年の頃に憧れていたガンダムのシリーズ作品を描けて光栄だ。私の絵柄を福井さんが気に入ってくれ、連載の打診があった。福井さんとの出会いが漫画家人生の転機となった。原作を読んでいると次々に絵が浮かんでくる」と話す。
 月の3分の1は、食事と睡眠以外は仕事に没頭する日々だ。「福井さんをはじめ、作品に携わっている人たちの間に信頼関係が築かれ、相互理解が深められている。とてもよい状態で仕事ができている。『ムーンガンダム』に全力投球している」と笑顔を見せる。

<王道の胸キュン満載>
 ラブコメディーの名手みきもと凜さんは仙台市在住で、女子中、高校生を中心に熱烈な読者がいる。
 女の子がときめくツボを押さえ、笑えて、泣けて胸がキュンとする少女漫画の王道とも言える路線や洗練された絵柄が魅力だ。恋に憧れる世代にとっては、たまらない要素が満載されている。
 教師と生徒の禁断の恋を描き、累計発行部数が320万部(電子含む)の「近キョリ恋愛」(単行本10巻)や、秘密のある容姿端麗の男子高校生と人と接するのが苦手な女子高校生の恋愛模様を描いた「きょうのキラ君」(同9巻)は、実写で映画化された。
 「別冊フレンド」に連載中の「午前0時、キスしに来てよ」は、イケメンの俳優と純粋な心根の女子高生の恋愛の行方を描いて好評だ。
 みきもとさんは「(出身地の)仙台の街が好きだし、信頼できるアシスタントもいるので仙台で描いている。背景に仙台の街並みを描くこともある」と地元愛に満ちている。
 漫画の魅力については「紙1枚にどんな世界でも表現できる。読者に癒やしやリラックスの時間を届けたい」とコメントしている。

仙台圏に住み、活躍する漫画家の作品世界や創作姿勢を紹介する。


◎巨匠作品の常設棚も 漫画の殿堂「喜久屋書店仙台店」

 仙台市青葉区中央4丁目のイービーンズ6階にある喜久屋書店仙台店は、漫画やサブカルチャーの書籍に特化した書店だ。昨年11月に20周年を迎えた。田中忍店長(47)は「漫画では東北で最も充実した品ぞろえだと思う」と自負している。
 店頭に並ぶ約30万冊のうち漫画は約20万冊と手厚く、新旧織り交ぜて満遍なくそろえている。店内の一角には、故手塚治虫さんや故石ノ森章太郎さん(登米市出身)ら昭和の時代に一世を風靡(ふうび)した巨匠の作品をそろえた「レトロ漫画館」も常設。中高年層も心が躍る棚作りだ。
 藤子不二雄(A)さんや「キン肉マン」のゆでたまごさん、「約束のネバーランド」の原作者白井カイウさん…。店内には漫画家らのサイン入り色紙約800枚がびっしりと並んでいる。
 店員が作ったポップ広告やキャラクターのオブジェも所狭しと飾ってある。実際に店に足を運ばなければ味わえない「リアル書店」ならではの魅力が伝わってくる。
 「意欲的なスタッフが多く、いろんなアイデアを駆使して、最低でも毎月10個のデコレーションを作っている」と田中店長。同店は各出版社が主催する飾り付けコンテストで、昨年は5回も優勝している。
 田中店長は「長引く出版不況で漫画の売り上げも伸び悩んでいるが、当店の売り上げは東日本大震災以降は毎年増えている」と笑顔を見せる。


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2019年01月17日木曜日


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