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<Eスコープ>介護職支援を支援/仙台フィンランド健康福祉センター

管理栄養士の業務について説明を受ける山田さん(左)

◎施設とIT企業マッチング/事務作業効率化へ

 仙台市の仙台フィンランド健康福祉センター(FWBC)が、介護にIT技術を活用する「ケアテック」=?=の普及に取り組んでいる。介護現場は人手不足などの課題が山積する一方、事業効率化に役立つIT導入は進んでいない。仙台FWBCはIT企業と介護施設をマッチングするニーズ調査などを行い、現場の負担を軽減するケアテックの製品やサービスを開発する企業を支援する。

◆煩雑な入力
 仙台FWBCの本年度のニーズ調査は仙台市の介護事業所3施設で行われ、IT企業など22社が集結。そのうち昨年10月にあった高齢者福祉施設「せんだんの里」(青葉区)の調査では、泉区のソフトウエア開発グッドツリーの山田紗奈江さんも参加した。
 山田さんは管理栄養士の業務の調査が目的で、朝のミーティングを皮切りに昼食の配膳や食事の介助を見学。午後には介護スタッフを交え、意見交換もした。
 課題の一つとして浮かび上がったのは、介護記録の入力業務だ。入居者一人一人の体重や食事の摂取量など、管理栄養士が記録する項目は多岐にわたる。他の介護スタッフも同様で、業務時間の2〜3割は入力作業に追われるとされる。
 せんだんの里第1住居支援部の辻田部長は「手書きでメモした後にパソコンで入力するなど、二度手間になっている。個別支援の充実に努めているが、記録に時間を取られているのが現状」と説明する。
 山田さんは「介護の現場に入り込み、必要とされるサービスについて直接声を聞けたのは貴重な体験だ。ITを生かし、さらに対人介護業務に力を入れられるようにしたい」と話した。

◆新年度助成
 仙台FWBCは健康福祉分野の製品やサービスの開発に助成(最大200万円)する事業を展開。ニーズ調査に参加した企業に加え、不参加の企業からもケアテックのサービスや製品の提案を受け付け、2019年度の助成対象を選ぶ。
 厚生労働省によると、17年10月1日時点の高齢化率は過去最高の27.7%で宮城県も27.2%と高い。介護施設は人手不足で職員は長時間労働を強いられ、離職率が高くなる悪循環に陥っている。
 一方、あるコンサルタント会社の調査では、国内の介護市場は25年に18兆円を超えると予測される。中でもIoT(モノのインターネット)の進展などにより、業務の省人化や効率化を進めやすいケアテックが重要になる。
 仙台FWBCは05年の開設当時から介護福祉機器やサービスを開発する企業の支援に携わってきた。ケアテックの推進を本格化させたのは18年度からで、既にデイケアサービスの利用者送迎や高齢者の遠隔見守りシステムの開発を支援し、製品化につなげた。
 斎藤賢吾FWBC推進本部長は「他産業に比べて介護をはじめとする健康福祉産業のIT化が遅れており、新しいビジネスの可能性がある。仙台に健康福祉関連の企業を集積させたい」と意気込む。

<ケアテック>介護(ケア)とITを中心とする科学技術(テクノロジー)の融合を意味する造語。介護事業所の労働負担軽減や生産性向上、高齢者の自立につながる製品、サービスを開発するため、介護分野へのIT事業者の参入を促す。福岡市もケアテック推進コンソーシアムを設立し、同様の事業を展開している。


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2019年01月23日水曜日


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