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<陸前高田市長選>復興の先、どうする財政運営 公共施設再建、将来の負担に懸念も

 任期満了に伴う陸前高田市長選(2月3日投開票)は、27日告示される。東日本大震災で大きな被害に見舞われた市内では、国の財政支援で公共施設の再建が進む一方、市民の間では維持管理費などの将来負担に懸念が広がりつつある。復興の先を見据えた行財政運営の在り方が争点の一つになりそうだ。
 復興事業で整備された市コミュニティホールで23日夜、立候補予定者による公開討論会があった。
 元岩手県企画理事の新人紺野由夫氏(59)は「今後は歳入減、歳出増の状況となる」と強調。まだ着工していない市庁舎の規模見直しなどを訴えた。
 3選を目指す現職戸羽太氏(54)は「被災前より使える金は増えている」と反論。市役所業務の民間委託でサービス維持と経費節減の両立を図るとした。
 市内では市庁舎のほかにも消防施設、体育館、市民会館、博物館、図書館、野球場など各地で公共施設の再整備が進む。災害公営住宅も計10カ所を新設した。
 市の財産調書によると、行政財産建物の総延べ床面積は、10年度の震災前時点で約15万3000平方メートル。震災で大きく減ったが、17年度には約14万6000平方メートルまで戻した。今後完成予定の施設も複数あり、復興期間終了時の20年度には震災前の規模を上回る可能性がある。
 財政指数は、17年度の市債残高が約125億円で10年度から13%減。財政調整基金は38億円となって約11倍に増えた。国の復興予算を有効活用した結果、現時点で財政は震災前より好転した。
 ただ、市人口は15年の1万9758人から30年後には4割減少するとの試算もある。再整備した施設では利用率の低下や更新時期の集中が心配される。
 実際、市が18年に実施した市民満足度調査で、「健全な財政運営の推進」は「不満」とする回答が「満足」を上回った。
 地方財政に詳しい井上博夫岩手大名誉教授は「あくまで市民のための財政であり、復興のさなかに萎縮しすぎるのもよくない。行政は財政見通しや長期的な施設管理計画を立案し、市民に説明しながら進めていく必要がある」と指摘する。


2019年01月25日金曜日


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