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<安住の灯>建設型仮設 被災者には過酷な環境/宮城孝氏に聞く

[みやしろ・たかし]日本社会事業大大学院博士後期課程修了。東海大、法政大の助教授を経て、2004年4月から現職。専門は地域福祉論。静岡県出身。61歳。

 東日本大震災では、7年10カ月が経過した今もプレハブ仮設住宅が解消できず、仮設間の転居を強いられた被災者もいる。本格的に運用が広がった民間賃貸住宅などの「みなし仮設」は、沿岸部から内陸への人口流出を加速させた。仮設暮らしが長期化する陸前高田市の状況や、仮設入居に伴う居住地移動の実態をそれぞれ継続調査する2人に研究報告の概要と、今後の課題などを聞いた。(「震災と住まい」取材班)

◎法政大現代福祉学部 宮城孝教授に聞く

 阪神大震災(1995年)では5年で仮設住宅が解消されたが、東日本大震災は入居が最長で10年になる見通しだ。仮設から仮設への転居を余儀なくされる現状は、戦後の災害史で初めて起こった事態ともいえる。近代化された日本にあって、被災者は過酷な環境に置かれている。
 東日本大震災の仮設住宅団地で8回の調査を重ねたが、元気だった自治会長の急な訃報に接する機会が増え、ショックを受けている。知っているだけでも3人が自宅再建を見届けないまま亡くなった。狭い住まいでの生活が相当なストレスになっていたと痛感する。
 陸前高田市を何度も訪れ、仮設の自治会活動は盛んだという印象を持っていたが、世話役の負担は大きかった。行政や社会福祉協議会、民間のNPOなどが連携し、外部から組織的に仮設コミュニティーを支える計画を作るべきだった。
 仮設に暮らす子育て世帯は、相当に窮屈な日々だっただろう。成長に与える影響も懸念される。仮設の機能性や耐久性は十分でなく、間取りも家族構成に合っていなかった。制度ではなく、ニーズに即して考える視点が欠かせない。
 仮設の居住期間は、避難所から出た後の「初期」、市街地のかさ上げが本格化した「中期」、退居による団地収縮の「後期」、再編・集約が進む「末期」に分類できる。それぞれの局面で、先行きへの不安が漂っていた。
 陸前高田市は大規模な土地区画整理事業を選んだ結果、復興の遅れにつながった側面がある。ハード整備を中心にした復興まちづくりに、地域再生や生活再建など被災者の要望、意見をしっかり反映させる場が保障されていたとは言い難い。
 今後想定される首都直下地震や南海トラフ地震を見据え、仮設暮らしの実態を社会全体で検証する必要がある。その一助にと、調査・分析を続けてきた。これだけ長い仮住まいを強いるような状況は、今回で最後にしなければならない。


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2019年01月27日日曜日


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