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<安住の灯>建設型仮設 転々と仮住まい長期化

 東日本大震災では、7年10カ月が経過した今もプレハブ仮設住宅が解消できず、仮設間の転居を強いられた被災者もいる。本格的に運用が広がった民間賃貸住宅などの「みなし仮設」は、沿岸部から内陸への人口流出を加速させた。仮設暮らしが長期化する陸前高田市の状況や、仮設入居に伴う居住地移動の実態をそれぞれ継続調査する2人に研究報告の概要と、今後の課題などを聞いた。(「震災と住まい」取材班)

 法政大の宮城孝教授は、明治大や工学院大の研究者らでつくる「陸前高田地域再生支援研究プロジェクト」の代表として、陸前高田市内の仮設住宅などに暮らす被災者の調査を続けている。各団地の自治会長に毎年インタビューし、2013年、16年、18年に全入居世帯を対象にしたアンケートも実施した。
 13年調査(回答数899世帯)は「親と子ども」(38.2%)、「3世代」(7.8%)の同居割合が高かったが、18年調査(93世帯)は「夫婦のみ」が32.1%を占めた。「単身」(28.6%)を含めると、全体の6割に達した。
 18年は他の仮設からの転居経験も尋ねた。集計可能な88世帯のうち、25.0%(22世帯)が集約化でプレハブ仮設などから、5.7%(5世帯)がみなし仮設から引っ越したと回答。仮住まいが長期化し、各地を転々とせざるを得ない現実が浮き彫りになった。
 現状の受け止めは、「大規模災害だから仕方ない」との答えが8割を超えた一方、約6割は「復興計画が不十分。もっと早くできた」と不満を抱いている。

[仮設住宅の種類](1)プレハブなどの簡単な応急住宅を建設する(2)公営、公団、公務員住宅などの空き家を提供する(3)アパートやマンション、一戸建てといった既存の民間賃貸住宅などを自治体が借り上げる−に分かれる。
 (3)は「みなし仮設」とも呼ばれる。家賃は月6万円を基準に、家族構成に応じて金額を補助する。空き部屋があればいち早く入居が可能。新規の工事などを伴わないため、コストの低さが利点の一つとされる。
 会計検査院はみなし仮設の2年間の1戸当たり平均経費を約183万円と算出。岩手、宮城、福島の被災3県で建設された仮設住宅に関する費用約617万〜730万円を大きく下回った。
 東日本大震災では都道府県が物件リストを提供する従来の仕組みに、被災者が探した物件を新規に借り上げる運用も加えられ、利用が広がった。最大で約14万戸あった被災者向けの仮設のうち、みなし仮設は半数近い約7万戸に達した。


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2019年01月27日日曜日


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