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<この人このまち>熟練の技で伝統に新風 最高賞を受賞した「岩谷堂箪笥」職人

菅野好平(かんの・こうへい)1956年、八幡平市生まれ。74年から岩谷堂タンス製作所で勤務。99年、伝統工芸士に認定登録。

 岩手県奥州市の伝統的工芸品「岩谷堂箪笥(たんす)」の木工職人菅野好平さん(62)が、日本伝統工芸士会作品展で最高評価の経済産業大臣賞を受賞した。モットーは「挑戦が伝統をつくる」。熟練の技を駆使して時流に合った作風を追求し続ける菅野さんに聞いた。(北上支局・布施谷吉一)

◎岩谷堂箪笥職人 菅野好平さん(62)/時代に合った商品開発に取り組むことが必要

 −岩谷堂箪笥の特徴は。
 「外側はケヤキ、内側はキリを使用し、漆を塗って装飾に彫金金具を打ち付けます。貴重品を保管する隠し箱を仕込む手間も欠かせません」
 「作業は分業制ですが、担当する木部加工は材料選びから仕上げまで全ての工程に関わります。同じデザインでも木目の美しさで仕上がりの雰囲気は異なってきます。日々勉強です」

 −受賞した「脚付き両開き舟箪笥」は、どんな作品ですか。
 「シニア社員となったことで時間的に余裕ができたので、自分が作りたいたんすに挑んでみました。くぎを使わない手法で技術力をアピールしました」
 「機能性も重視です。今の住まいはフローリングが増えています。ロボット掃除機も使えるよう脚を付けました。使う側の思いを考えて製作するのが楽しいですね」

 −大量生産品が多く出回っています。伝統的工芸品には何が求められますか。
 「価格では太刀打ちできませんが、岩谷堂箪笥は代々受け継いで使ってもらえます。江戸時代のたんすも現存しています。今は材料も良くなり、技術力も高まっています。その魅力を発信しなくてはいけません」
 「東日本大震災でも岩谷堂箪笥は壊れませんでした。漆を塗り直し、金具を取り換え、塩水で黒くなったキリ材を漂白するなど300さおを職人が手分けして修理しました。『まだ使いたい』という気持ちに応えるのが職人です」

 −職人になって45年。伝統を引き継ぐことも大切です。
 「職人になって最初の半年は雑用ばかりですが、材料の特徴を学ぶことができました。今は厳しいだけでは駄目なので、聞かれれば何でも教えます。ただ、景気が上向かないと若い職人は増やせません」
 「伝統や技術を絶やさないためにも、需要を高めることが求められます。端材で小物を作ったり奥行きを減らして場所を取らない工夫をしたりと、時代に合った商品の開発に取り組むことが必要です」


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2019年01月28日月曜日


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