宮城のニュース

津波被災した伝説のブルワリー、閖上で復活へ 新工場8月完成予定

新工場とビアホールの設計図を眺めながら再スタートに思いをはせる原さん

 地ビールのコンテストで日本一に輝いたこともある伝説のブルワリーが、東日本大震災で被災した名取市閖上に復活する。震災後、花巻市に拠点を移して地ビールを造りながら「その日」を待ち続けてきた原勉さん(78)=仙台市泉区=が、ついに宿願を果たす。塩釜市にもビアホールを開設する。

 新工場「ゆりあげ麦酒醸造所(仮称)」は、災害危険区域に指定された名取市閖上東地区の産業用地約1200平方メートルに8月、完成の予定だ。
 醸造用タンク11基を設置し、年間生産量は震災前と同等の60キロリットルを見込む。建設費1億5000万円は自己資金に加え、グループ化補助金で賄う。
 主力商品は発酵後の麦汁に濃縮果汁を加えてつくるフルーツビールで、イチゴ、リンゴ、赤ブドウの3種類を一年中醸造する。名取市産メロンを使った新商品の開発にも挑戦するという。試飲できる工場見学も受け付ける方針だ。
 原さんは震災前、宮城県亘理町で「鳥の海ブルワリー」を運営。2005年にジャパンビアカップの最高賞を受賞するなど実力派のブルワリーだったが、津波で流失してしまった。
 やむなく原さんは13年、花巻市に地ビール製造「夢花まき麦酒醸造所」を開設。ビール醸造に不向きな気候や手狭な工場に苦労しながら、沿岸被災地でのブルワリー再建を目指してきた。
 ビアホールは工場より一足早く、3月下旬〜4月上旬に塩釜市北浜の「第一漁協会館」内にオープンする。4階建てビルを県漁協から買い取って2階を改修して約60席のホールとし、工場直送の新鮮なビールを提供する。3、4階はホテルに生まれ変わる。
 工場の建つ閖上とビアホールを開設する北浜は、ともに津波被災地。原さんは「つらい事の連続だったが、やっぱり海が好きで、離れたくなかった」と語る。
 「今までより深みの増したビールを宮城の方々に届け、被災地を元気づけたい」と意気込んでいる。


2019年01月29日火曜日


先頭に戻る