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<ガソリンスタンド>過疎地増に危機感 石油元売り大手も対策急ぐ

湯原給油所を利用する除雪車。東北の冬場の行政サービス維持にGSは欠かせない=宮城県七ケ宿町

 東北各県で、ガソリンスタンド(GS)の減少が進んでいる。経済産業省によると、一つの自治体にGSが3カ所以下の「GS過疎地」(2018年3月末現在)は6県の計38町村に上り、全227市町村の約16%に当たる。GSのライフラインとしての重要性は東日本大震災で再認識されており、関係者は危機感を強めている。

 GSが2カ所しかない宮城県七ケ宿町。その一つの湯原給油所を運営する有限会社クリキク七ケ宿は、梅津政志社長(69)と60代男性の2人だけで給油や配達に追われる。給油する車は多い日で30台前後。灯油や軽油の配達も請け負い、何とか黒字を確保している。
 梅津社長は「必要最小限の人数。個人的にはリタイアしてもいい年齢だが、町の大切なインフラをなくすわけにいかない」と嘆く。
1400ヵ所近く減
 東北のGSは18年3月末現在で3456カ所。10年前の08年3月末の4840カ所から1400カ所近く減ったことになる。
 GS過疎地である38町村のうち、3カ所は秋田県上小阿仁村など19町村、2カ所は福島県楢葉町など8町村、1カ所は山形県金山町など10町村。青森県西目屋村は唯一、ゼロとなっている。
 過疎化の要因にはエコカー普及などに伴うガソリン需要の減少に加え、地方のGSの高コスト構造や事業承継の難航などが挙げられる。都市部に比べ販売量が少ないため、単価や物流費が割高になりやすい。設備の老朽化や経営者の高齢化に伴い、閉鎖を余儀なくされるケースが少なくない。
 石油元売り大手も対策に取り組む。JXTGエネルギー(東京)の大浜健執行役員東北支店長は「GS過疎地の拡大は大問題。各GSに販売促進策を展開して利益を上げてもらい、一日でも長く営業を続けてほしい」と強調する。
災害時 支障も
 コスモ石油マーケティング(東京)の金子兼太東日本支店副支店長は「古い地下タンクには多額の設備投資が必要。系列のGSのタンクのデータベースを作成し、早めに対策を打てるよう案内している」と話す。
 東日本大震災では物流網が寸断されて被災地のGSへのガソリンや灯油などの供給が滞り、復旧復興や住民生活に影響した。津波で自宅を失い車内で暮らした被災者も多く、ガソリン需要が高まった。GS過疎地が広がれば、災害が起きた際の対応に支障を来す恐れもある。
 経産省資源エネルギー庁は対策案として、IT機器活用による業務効率化、エネルギー供給と物販などのワンストップ・サービス拠点化による利便性向上などを掲げる。同庁の吉沢隆石油流通課長は「地域と石油販売業者、行政がタッグを組み、過疎地でもGSを維持、発展させることが重要だ」と指摘する。


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2019年01月30日水曜日


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