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<東日本大震災>全盲のマッサージ師、被災者の心身ほぐし8年「今も不安抱える人癒やしたい」

住人をマッサージする佐藤さん

 宮城県栗原市築館のマッサージ師佐藤伸也さん(53)が東日本大震災の被災地で8年にわたり、施術ボランティアを続けている。全盲のため一人で被災地に通うことが難しく、志を一にする仲間と活動する。佐藤さんは「今も不安を抱える方々の心身を癒やしたい」と話す。

 「痛くないですか?」「最近冷えますね。でも、あっという間に春ですよ」。1月28日、石巻市渡波にある災害公営住宅の集会所。ほほ笑みながら、住人の肩や背中をさする佐藤さんの姿があった。
 震災で夫と娘、孫2人を亡くした無職女性(64)は「彼の手は優しい。わざわざ来てくれるのもうれしい。マッサージされていると、頭が空っぽになってほっとする」と喜んだ。
 佐藤さんは先天性の病気のため、生まれた時から目が見えなかった。仙台市の視覚支援学校で6〜19歳を過ごし、卒業時にあん摩マッサージ指圧師の免許を取った。
 将来に迷いや不安があり10年以上、ほとんど家から出ずに悶々(もんもん)とした日々を送った。知人の誘いで指圧の慈善活動に参加し「自分は助けられる側でなく、助ける側になれる」と考えが一変した。
 徐々にマッサージの業務を本格化し、現在は自宅や顧客の家で施術サービスを手掛け、常連を抱えるまでになった。
 傾聴ボランティア「カフェ・デ・モンク」を主宰する通大寺(栗原市)住職の金田諦応さん(62)に誘われ2011年11月、被災地でボランティアを始めた。
 最初の訪問先は石巻市の仮設住宅だった。相手の表情は分からない。声のトーンで気持ちを察した。何度か通ううち、ぽつぽつと身の上話をする人が出てきた。
 「家が無くなった」「母が流された」「息子が見つかっていない」−。うんと優しく背中をさすった。住人が顔をうずめていたバスタオルは涙でぬれていた。「ありがとう。また来てください」の言葉に、活動を続けると誓った。
 現在は月1回程度、県沿岸部を中心に行われるカフェ・デ・モンクに同行する。金田さんは「伸也さんはとにかく相手のことを思う人。一緒に活動できてうれしい」と話す。
 佐藤さんは「自分も多くの人に支えてもらった。今度は私が恩返しする番。あらゆる人たちの心身をほぐし、前を向くお手伝いをしたい」と穏やかに語った。


2019年02月02日土曜日


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