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<はやぶさ2>磁気回路はトーキン製 イオンエンジンに使用 初代でも実績、品質に評価

はやぶさの模型でサマリウムコバルト磁石の役割などを説明する片岡さん

 小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載された電気推進方式のイオンエンジンに、トーキン(宮城県白石市)製の磁気回路が使われている。宇宙空間の過酷な状況に耐え得る品質が評価され、初代のはやぶさに続き採用された。はやぶさ2は今月18日以降、小惑星りゅうぐうへの着陸に挑む。開発に関わった同社のエンジニア片岡淳さん(49)は「任務を成功して無事に戻ってきてほしい」と願う。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによると、イオンエンジンは電離したイオンを噴射して推進力を得る仕組み。化学エンジンと比べ推進力は小さいが、燃費は約10倍。長時間の加速が可能になる。
 トーキンの磁気回路は磁場を発生させて電子を封じ込める役割があり、イオンエンジンに欠かせない。素材のレアアース磁石には、同社が1969年に日本で初めて製品化したサマリウムコバルト磁石が使われている。
 サマリウムコバルト磁石の市場で同社のシェアは約2割を占め、主に車載向けに供給している。磁力が強く、高温でも特性を保つ。腐食や放射線の耐性にも優れ、宇宙での活用に適している。
 同社への磁気回路の開発要請は96年、はやぶさの設計などを担ったNEC(東京)から寄せられた。当時の片岡さんは20代後半の若手技術者で、磁石の加工や組み立てで試行錯誤を重ねた。
 完成した磁気回路を積んだ初代のはやぶさは2003年に地球を飛び立ち、小惑星イトカワの微粒子の回収に成功。イオンエンジンのトラブルなどに見舞われたが、10年に帰還した。
 片岡さんは「4基あるエンジンのうち、何基かが故障していると聞いて心配だった。何とか動いてくれと祈っていた」と当時を振り返る。
 14年に打ち上げられたはやぶさ2には改良を加えた磁気回路を納入した。18年6月、地球から約3億キロ離れたりゅうぐうに到着。現在は着陸に備え、約20キロ上空で待機している。
 サマリウムコバルト磁石など磁性材料の開発は、東北帝大(現東北大)発ベンチャーとして創業したトーキンの祖業と言える。「大きな期待が掛かるプロジェクトに参加し、役に立てたことがうれしい」と片岡さんは語る。


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2019年02月05日火曜日


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