宮城のニュース

石巻の地域情報紙「ゆくゆく輪」被災者つなぎ大団円 4年半の発行「役割果たせた」3月最終号

第54号の紙面について打ち合わせする原田さん(左端)や天野さん(左から2人目)ら編集部のメンバー

 東日本大震災で被災した石巻市釜、大街道両地区で4年半にわたって発行してきた地域情報紙「ゆくゆく輪(わ)」が3月に終刊する。震災で失われた住民同士のつながりを取り戻そうと発行を続け、結び付きが回復してきたと判断し区切りをつける。複数の支援団体でつくる編集部は「終刊後も地域に残り、復興に貢献したい」と意欲は衰えない。

 ゆくゆく輪はA4判見開き4ページで月1回発行。約5500部を無料で戸別配布している。地域行事の告知や市の支援制度に加え、支援団体の紹介、住民の取り組みを広く取り上げてきた。3月下旬に発行する55号が最終号になる。
 編集作業はいずれも市内の一般社団法人「BIG UP石巻」や寺院「秋葉山大宝院」、住民組織「上釜を愛する会」など両地区で活動する団体が請け負っている。
 発刊は2014年9月。両地区の11町内会を対象に約2000部でスタートし、最大で約6500部を発行した。市などの助成金や寄付金で運営費を賄い、配布は町内会など地域住民の協力をもらった。
 編集部員が津波避難ビルに指定された建物を訪ねたルポ風の企画記事が好評だった。浸透するにつれ、読者から「自分たちの活動を掲載してほしい」などの売り込みも多くなった。編集部の原田豊さん(39)は「人と人とをつなぐ道具になった」と振り返る。
 両地区は多くの世帯が津波に遭い、多数の住民が仮設住宅や災害公営住宅に移った。自宅が被災したまま地域に残る在宅被災者のコミュニティーが脆弱(ぜいじゃく)になっていたことが課題だった。
 震災から8年近く。世帯数が少しずつ回復して全町内会が活動再開したのを受け、編集部で「一定の役割を果たせた」と終刊を決めた。読者からは「残念」「最後に載せてほしい」などの声が寄せられているという。
 秋葉山大宝院住職で編集部代表の天野秀栄さん(38)は「ここまで続くとは思っていなかった。戸別配布などに協力してくれた方や地域の住民の方に感謝したい」と話した。


2019年02月05日火曜日


先頭に戻る