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<東日本大震災>わが子が生きた証し碑に刻む 石巻・日和幼稚園の遺族有志、現場付近に慰霊碑建立へ

慰霊碑の建立予定地。写真左奥付近が園児らを乗せたバスの被災現場
慰霊碑の建立予定地。目の前には石巻南浜津波復興祈念公園が完成する予定だ

 東日本大震災の津波で犠牲になった私立日和幼稚園(石巻市、休園中)の園児の遺族有志が、石巻市門脇町の被災現場近くに慰霊碑を建てる準備を進めている。「子どもたちを守れなかった記憶と教訓を、後世に引き継がなければならない」。震災8年となる3月中旬までに建立し、語り継ぐ決意と共に、わが子が生きた証しを刻む。
 碑文には、遺族の同意が得られた園児4人の名前を織り交ぜた詩を記す。子どもと過ごした日々の輝き、突然の別れに直面した悲嘆をつづり「あなたの笑顔にまた会いたい」という言葉で締めくくる。
 デザインには子どもたちの冥福を祈って手を合わせる姿や、親が子を包み込むイメージを取り入れた。
 設置場所は被災現場から50メートルほど南。2020年度に完成予定の石巻南浜津波復興祈念公園に近く、市有地を無償で借り受けた。碑は高さ1.6メートル、幅2.4メートル、奥行き1.5メートルで主に御影石を用いた。
 あの日、園児12人を乗せたバスは高台に位置する園から、海に近い南浜町方面に向かった。園に引き返す途中の門脇町付近でバスは津波にのまれて炎上。5人の命が失われた。
 碑の建立に取り組む石巻市の佐藤美香さん(43)は長女の愛梨ちゃん=当時(6)=を亡くした。震災の風化を危惧し、語り部活動などを通じて伝承に取り組むが「私たちだけで伝え続けるのは限界がある」とも感じている。
 佐藤さんは「有事の際はとにかく逃げてほしい。子どもたちのことを伝え、一人でも多くの命を救いたい」と力を込める。碑の建立をきっかけに、伝承の輪が広がることを思い描く。
 石巻市の西城江津子さん(44)は次女の春音ちゃん=当時(6)=を失い、語り部としてあの日の出来事を伝え続ける。「祈念公園には多くの人が訪れると思う。私たちの慰霊碑にも足を止めてほしい」と願い、語る。
 「この子たちの命があった証しを残してあげたい。きっともう、親の私たちにはそれしかできないから」
 募る思いを碑に託し、静かに完成の日を待つ。


2019年02月06日水曜日


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