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<いわてを考える>国との連動に不透明感

永続的な支援を求める声が上がった「岩手県こころのケアセンター」と市町村の連絡協議会=1月24日、久慈市

 東日本大震災からの復旧・復興で岩手県には、累計1兆6700億円超の国費が投じられてきた。基盤整備に一定のめどが付きつつある一方、「ポスト復興」局面には財政上の難題が山積している。施設の維持管理費、被災者支援の今後、後回しにされた一般事業…。巨額復興財政の内実を探る。

◎第2部・復興財政(2)終わりなき支援

 「心のケアなど新たな課題にどう対処するか。予算も含め、国と連動しながら考えていかなければならない」
 盛岡市で1月29日にあった岩手県東日本大震災津波復興委員会。岩渕明委員長(岩手大学長)が居並ぶ委員に呼び掛けたのは、被災者支援の財源対策だった。

<相談高止まり>
 被災者支援は、基盤整備と並ぶ復興の2本柱だ。2017年度までに県は、コミュニティー再生事業に約70億円、心のケア関連事業に約40億円を投じている。
 県は次期総合計画(19〜28年度)の施策工程表にも「地域コミュニティー活動の環境整備」「こころのケアの中長期的取り組み」などを列記しており、息の長い支援を想定する。
 だが、国の復興・創生期間が終了する21年度以降を見通した支援の枠組み策定は遅々として進んでいない。岩渕委員長の訴える「予算も含めた国との連動」には不透明感が漂う。
 県は12年「こころのケアセンター」を開設。18年度の延べ相談数は昨年12月末時点で5761件だった。
 16年度9041件、17年度8338件と微減傾向とはいえ、高止まりに変わりはない。むしろ震災発生から時間が経過するにつれ、一つ一つの相談内容は複雑化、深刻化している。
 スタッフ約50人を抱えるセンターが17年度までに要した設置・運営費は総額28億円に上る。国費負担が途絶えた途端、存続に黄信号がともる。
 大塚耕太郎副センター長(岩手医大教授)は「被災者の心の健康は長期的にケアしなければならない分野だ。元々精神科医が少ない沿岸部だけでは、とても吸収しきれない」と訴える。

<基金の枯渇も>
 低所得の被災世帯に対する灯油購入費助成や医療費免除の財源は、県の復興基金で措置される。
 国からの特別交付税が主な財源で、使い道の自由度も高い。被災自治体は「第二の財布」として復興事業に活用してきた。岩手県は303億円の基金をつくり、これまで44事業に計220億円を繰り出している。
 阪神大震災(1995年)や新潟県中越地震(2004年)の復興基金は、新たに設立した財団法人に運営を委ねる方式が主流だったが、東日本大震災では被災各県が直接、基金を運営している。
 財団運営方式は、神社の再建など「行政が直接手出しできない分野への財政支援が可能で、きめ細かに復興を補完できる」(兵庫県復興支援課)。
 これに対して岩手県復興推進課は「財団化すれば職員を雇用する経費も発生するし、限られた人員では被災者ニーズをきめ細かくくみ取ることができないのではないか」と疑問視。「県土、被災地が広い岩手には直営方式が合っている」と強調する。
 こうした岩手の特性に即して基金の使途も特徴的だ。宮城では市町村主体の住宅再建支援事業を岩手は県基金で賄った。
 執行率は17年度で7割を超え、残高は約75億円。今後も毎年度25億円程度の繰り出しを見込んでおり、20年度にも底を突く可能性がある。


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2019年02月06日水曜日


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