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石巻の防潮堤工期遅れで市が契約解除 「一方的過ぎる」業者反発、工事を強行

契約解除に抗議し、カルヤードが掲げた横断幕。周辺では重機が稼働している=石巻市雄勝町

 宮城県石巻市が発注した東日本大震災関連の防潮堤工事で、工期の遅れを理由に契約を解除された受注業者が市の判断を不服として工事を強行する異例の事態となっている。市に即時中止を求められた業者は「一方的過ぎる」と強く反発し、宮城県に調停を申し立てた。契約解除から約3カ月。工事のピッチは上がっており、市は法的手続きを進めている。
 現場は同市雄勝町の小島漁港の防潮堤復旧工事。海抜6.4メートルの防潮堤約400メートルを建設する。2016年8月の入札で、建設業「カルヤード」(石巻市)が約9億4500万円で受注した。工期は同年9月3日から18年10月末だった。
 市が契約を解除したのは昨年11月13日。工期が残り3カ月の同7月末時点で進捗(しんちょく)率が約15%だったことなどを踏まえ、市は10月24日に催告書を送付。工期が過ぎた11月1日に催告兼解除通知書を送り、「11月12日まで完成しなければ契約解除する」と最後通告した。
 一方、同社は同年8月、市に工期の3カ月延長を要請していた。同社によると進捗率は8月末で24.2%、9月末は44.1%と急速に伸びたものの、工期末の10月末時点で66.7%にとどまった。
 延長要請に対し、市は同社に詳細な工程表を提出させて内容を精査。これまでの経緯などから完成できる根拠がないと結論付けた。開閉可能な門扉「陸こう」など下請け業者が行う関連工事に関しては「半端な施工になる」として建造を了承しなかった。
 8月の延長要請から11月の契約解除に至る両者の協議を巡り、同社は「工期延長を前提にしていたはず。そのため一部の工事も止め、進捗率が鈍った。一方的だ」と正当性を主張する。
 市水産基盤整備推進室は「延長が前提ではない。工期内に完成しなかった結果を基に手続きに従って解除した」と反論する。
 工事全体が遅れた理由を巡っても意見は対立する。
 同社は「市に提出した工事関連資料への対応が遅く、着工まで時間がかかった。遅れたのは市の責任で、延長してもらえれば工事は完成できる」と主張する。
 市は「そもそも資料提出の時期が遅かった。着工から1年半で進捗率15%だったのは作業員が確保できなかったから」と説明する。
 同社は「最後まで工事をして被災地に提供したい」と工事を続行する。現場には「契約違反はしていません」などと書いた横断幕を複数張った。同社によると、水門などを除く防潮堤の工事は9割終わったという。
 同社は契約解除後に県建設工事紛争審査会に調停を申し立て、今月、第1回の期日を迎える。議論は平行線をたどる見通し。
 市は同社が受注し、今年1月末が工期だった同町の明神漁港の防潮堤工事に関しても、工事の遅れを理由に契約を解除する方針。
 これに対し、同社は「遅れたのは市の監督員が代わり、対応が全く異なったため」と反論している。


2019年02月08日金曜日


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