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浪江の請戸小を震災遺構に 福島県内では初、交流の場へ検討委答申

震災遺構として保存・活用される福島県浪江町の請戸小

 東日本大震災の大津波と東京電力福島第1原発事故の複合災害に見舞われた福島県浪江町請戸小の校舎について、町の震災遺構検討委員会は8日、教訓を伝える遺構として保存・活用するよう、吉田数博町長に答申した。吉田町長は実現を図る考えを示した。震災後の建造物遺構として県内初のケースとなりそうだ。

 校舎は海岸線から約300メートルにあり、高さ15メートルの津波が押し寄せ、校舎や体育館が被災した。児童93人と教職員19人は地震直後に近くの大平山に避難したり、下校したりして全員無事だった。請戸小は原発事故に伴う避難のため臨時休校となっている。
 答申後の取材に、検討委の吉岡正彦委員長(ふくしま自治研修センター総括支援アドバイザー兼教授)は「委員9人とも保存するべきだとの意見だった」と話した。その上で「あまり手を加えずに当時の現状を見ていただき、請戸地区のシンボルとして住民交流できる場としたい」と語った。
 吉田町長は「請戸地区は災害危険区域に指定されて住むことができず、(学校が)たった一つの思い出の地になる」と述べた。保存反対の声があるかどうかについては「そうした声は届いていない。子どもに被害がなかったことが大きい。交流の場として残ることに期待がある」と語った。保存のための財源は、2020年度までの国の復興・創生期間内に復興予算を充てる考えを示した。
 答申は校舎1階に被災したままの教室などを見学できるルートを設け、2階の一部を教訓伝承の展示スペースとして活用するよう提案。体育館と海を望む展望台は立ち入りさせず、外側から見学する施設とした。
 検討委は学識経験者や町民9人で組織。昨年10月から3回、現地調査や仙台市若林区の震災遺構「荒浜小」の視察などを行った。


2019年02月09日土曜日


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