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<文化審答申>御田植祭(福島会津地方)重要民俗文化財指定へ

福島県会津美里町の御田植祭で、獅子頭を手に素足で神田に入り、代かきをする「田あらし」=2015年(会津美里町提供)
生糸を巻き直す時に使用する「糸返し台」

 文化審議会は8日、福島県会津地方に伝わる田植え行事「会津の御田植祭(おたうえまつり)」や、独特のリズムで力強く太鼓を打ち鳴らす北九州市の「小倉祇園祭の小倉祇園太鼓」など3件を重要無形民俗文化財に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。3月に答申通り指定され、重要無形民俗文化財は312件となる。
 審議会は、かつて日本の養蚕業をけん引した福島県の伊達地方に伝わる道具類を集めた「伊達の蚕種(さんたね)製造および養蚕・製糸関連用具」を重要有形民俗文化財に指定することも求めた。重要有形民俗文化財は221件となる。
 このほか、大津市の寺が所有する「田上の衣生活資料」を登録有形民俗文化財に、花巻市の倉沢人形歌舞伎など8件を消滅の恐れがあり記録を残すべき無形民俗文化財にするよう求めた。

◎文化審の答申内容

 文化審議会の答申内容は次の通り。かっこ内は所在地または所有者の住所。

 【重要有形民俗文化財】伊達の蚕種製造および養蚕・製糸関連用具(伊達市)
 【重要無形民俗文化財】会津の御田植祭(喜多方市、福島県会津美里町)▽間々田のじゃがまいた(栃木県小山市)▽小倉祇園祭の小倉祇園太鼓(北九州市)
 【登録有形民俗文化財】田上の衣生活資料(大津市)
 【記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財】倉沢人形歌舞伎(花巻市)▽福井の戸祝いとキツネガリ(福井県)▽三熊野神社大祭の祢里行事(静岡県掛川市)▽灘の酒樽製作技術(神戸市)▽北部九州の盆綱(福岡県、佐賀県)▽高森のにわか(熊本県高森町)▽薩摩川内の大綱引き(鹿児島県薩摩川内市)▽岩川の弥五郎どん(鹿児島県曽於市)

◎豊作祈願伝統受け継ぐ 近世以前からの北限/御田植祭

 豊作を祈願する「御田植祭」は多くが消滅した。福島県会津地方では喜多方市の慶徳稲荷神社、会津美里町の伊佐須美神社で、住民が伝統を受け継いでいる。
 喜多方は7月2日(うるう年は1日)に実施。近世以前から続く御田植祭の北限とされる。早乙女や翁(おきな)を模した「デコ」(人形)を持った氏子が地域を練り歩く。デコをあぜに立てた神田では、歌に合わせて白狐を装う子どもが苗を田に投げ入れ、早乙女が植える。
 7月12日開催の会津美里は中世後期が起源という。獅子頭を手にした子どもたちが神田に素足で入り、代かきをする「田あらし」など喜多方と異なる特徴もある。地区保存団体と小中高生ら総勢約500人が参加し、町全体で盛り上げる。
 渡部英敏会津美里町長は「町を挙げて取り組んできただけに指定は感無量だ。米どころ会津を一層アピールしたい」と話す。

◎幕府から「本場」の称号 技術の変遷示す1300点超/伊達蚕種製造・製糸関連用具

 伊達市霊山町の旧泉原小を利用した「泉原養蚕用具整理室」と、同市保原歴史文化資料館に保管されている3000点を超える養蚕と製糸の関連用具のうち1344点が指定された。
 伊達地方は養蚕業が盛んで、江戸幕府から「蚕種本場」の称号を許されていた。指定された用具は、カイコの卵を作る蚕種製造と養蚕、製糸に関して分類、整理されており、製造技術の変遷などが分かる。
 蚕種関連では、カイコが卵を産む産卵台紙などが数多く残る。東北で特徴的な糸繰り用具の「奥州座繰器(ざくりき)」、生糸を巻き返す「糸返し台」などもある。養蚕用の温度計「蚕当計(さんとうけい)」は伊達地方発祥で、養蚕技術の飛躍的な発展につながった。
 整理室の丹治純子さん(67)は「地域の方々から寄贈された歴史的な用具が指定され、うれしい。次世代に伝わるよう、展示方法を工夫していく」と話す。


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2019年02月09日土曜日


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