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障害者のもどかしさを疑似体験 雇用拡大急務、山形の市民グループの講座が話題に

2枚重ねの軍手を両手にはめて手先の不自由さを疑似体験する受講者

 知的障害者や発達障害者が陥りやすい混乱や緊張、もどかしさを知ってもらおうと、山形県の市民グループが作った疑似体験メニューが福祉関係者の間で関心を集めている。結成から約2年半で開いた体験講座は東北を中心に60回以上。中央省庁や自治体の障害者雇用水増し問題を受け、知的障害者らの雇用拡大が急務となる中、グループはさらに受講が広がることを期待している。(山形総局・吉川ルノ)

<メニュー8種>
 疑似体験メニューを作ったのは、県内各地の知的障害者の家族らが2016年7月に結成した「花笠ほーぷ隊」。現在は特別支援学校の職員らも加わり、22人で活動している。
 体験メニューは全8種類。スライドで課題や手順を上映しながら進める。例えばダウン症などで指先の動きが不自由な人の感覚を体験するメニュー。2枚重ねの軍手をはめ、チャック付きビニール袋に入った硬貨を封筒に移すといった課題が設定される。
 高齢者や身体障害者の感覚を疑似体験するメニューでは、視野を狭め、視力を低下させるゴーグルや体を動きにくくする重りなどを装着する方法が普及しているが、知的障害や発達障害に特有の「感じ方」は再現が難しく、一般的な手法は確立されていない。

<理解が不可欠>
 ほーぷ隊の古沢薫代表(58)は「知的障害、発達障害をテーマにした体験講座は珍しく、これまでに社会福祉協議会の研修会などで青森、宮城、埼玉各県で出前講座を開いた」と言う。
 古沢代表の次男(26)は重度の知的障害を伴う自閉症だ。疑似体験メニューが必要な理由について、古沢さんは「知的障害や発達障害の特性は外見上理解しづらい。共生社会の実現には少数の専門家より多数の理解ある市民の存在が不可欠」と説明する。
 昨年発覚した障害者雇用水増し問題を受け、全国の行政機関では身体障害者に限っていた募集対象を知的障害者、精神障害者にも広げる動きが進む。古沢代表は「この機会に一人でも多くの行政職員に体験してほしい」と願っている。


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2019年02月10日日曜日


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