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<大覚野峠>雪景色人気も…運転困難、携帯は圏外 誘客阻む白き壁 地元はトンネル化に期待

雪が降りしきる大覚野峠区間。着雪した看板には「この先なだれ注意」と書かれていた=2月上旬、北秋田市阿仁

 秋田県がトンネルの整備を検討している大曲鷹巣道路(国道105号)の難所で仙北、北秋田の両市境にある大覚野(だいかくの)峠区間(14.3キロ)は、冬季に秋田を観光する訪日外国人旅行者(インバウンド)にとっても障害になっている。周辺の雪景色がインバウンドに人気だが、自ら車を運転しての峠越えは危険を伴い、せっかくの観光資源が無駄になりかねない。
 田沢湖や角館など東北有数の観光地がある仙北市には、台湾や韓国などから年に約3万8000人(2018年)のインバウンドが宿泊する。北隣の北秋田市には樹氷で知られる森吉山や熊牧場があり、足を延ばすインバウンドも目立つ。
 今年1月下旬、台湾から訪れた9人が乗ったレンタカー2台のうち1台が大覚野峠区間のスノーシェッドでスリップし、側溝に脱輪する事故を起こした。
 左側の前後輪とも側溝にはまってしまい、自力で脱出できなくなった。区間の大部分は携帯電話の電波が届かず、通じない。後続車両の協力で警察に連絡し、検分を終えて北秋田市の宿泊先に着いたのは深夜になってからだった。
 北秋田市阿仁の旅行業大穂耕一郎さん(65)は「日中で、2台に分乗していたのが幸いした」と言う。冬場の夜は、通行する車両がほとんどない。気温は氷点下10度以下に冷え込み、リスクが高まる。
 大穂さんは「トンネルができれば、冬季も仙北市から安全に短時間でインバウンドが来られる」と話す。
 2月上旬、実際に標高518メートルの大覚野峠を運転すると「雪崩注意」「スリップ注意」「落石注意」の看板が目を引いた。道路脇に雪の壁がそびえる。道幅が狭く、対向してくるトラックは圧迫感があった。
 寒気が南下した取材日は風雪に加えて積もった雪が舞い上がり、視界を時折失いかけた。
 大曲鷹巣道路は大仙市大曲と北秋田市鷹巣を南北に結ぶ地域高規格道路。角館以北は秋田内陸縦貫鉄道の秋田内陸線が並行する。インバウンドの多くは仙北市内の駅で乗り降りし、北秋田市内の駅まで乗る人は少ないという。
 北秋田市の阿仁マタギ駅に近い「打当(うっとう)温泉マタギの湯」の営業係長斎藤英昭さん(57)はトンネル化に期待する。「内陸線とツアーバスと組み合わせたプランを作りやすくなり、相乗効果が高まる。観光面のメリットは大きい」と語る。
 通行止めが頻発する大覚野峠区間に、県は最長3000メートル級のトンネル4本を造る検討を進める。事業費は300億円超とされる。
(横手支局・野内貴史)


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2019年02月18日月曜日


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