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<女川再稼働>住民投票、間接民主制を補完/岡本三彦・東海大教授に聞く

岡本三彦(おかもと・みつひこ)早大大学院博士後期課程修了。流通科学大助教授、東海大准教授を経て2011年から現職。専門は地方自治、公共政策。56歳。東京都出身。

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の是非を問う住民投票の条例案が21日、宮城県議会2月定例会に追加提出され、審議が始まった。住民投票は、地域における意思決定にどう活用されているのか。住民投票制度に詳しい東海大の岡本三彦教授に聞いた。(聞き手は報道部・高橋鉄男)

 −直接請求による住民投票は1996年、全国で初めて新潟県旧巻町(新潟市)で実現し、東北電力巻原発建設の是非が問われた。
 「住民がよく勉強して当事者意識を高めたことにも意義があった。原発という国策にストップをかける意味合いもあり、国は『一自治体の判断で決めていいのか』と反発した。今も引きずっているテーマだ」

 −その後、首長提案なども含めて住民投票が全国に広がった。
 「迷惑施設建設の是非や市町村合併の選択に使われた。近年は役場庁舎、図書館といった公共施設の建設の是非など身近な問題に用いられている」
 「しかし市町村合併を除けば、投票に至ったケースは巻町以降、全国でわずか約40件。東北では98年の白石市の産業廃棄物処分場建設を巡る投票しかない。議会は自身や支持政党、団体の考えと違う投票結果になるのを恐れ、請求の8割以上を否決している」

 −住民投票が、議会を通じた間接民主制を否定するといった批判も根強い。
 「投票結果に法的拘束力はなく、最終的な決定権は議会、首長にある。住民投票は間接民主制を補完するものと考えるべきだ。そもそも議員は有権者の政治参加を否定できない」

 −沖縄県の米軍基地移設を巡る住民投票の選択肢は、賛否と「どちらでもない」の3択になった。
 「私は反対だ。議会、首長の最終判断は賛否の2択になるのだから、住民投票も2択であるべきだ。『どちらでもない』選択肢ができること自体、議論が不十分な表れ。議会は熟議を通じて住民投票の可否を判断すべきで、時間があれば、条例案を継続協議としてもいい」

 −今後、住民投票を法制化すべきか。
 「制度的に未熟だが、法制化すれば成立要件が厳しくなる恐れがあり、今は経験を積み上げる時期ではないか。政治家の特権意識をなくす変革や、有権者が観客民主主義を脱することも求められる」
 「東日本大震災の復興事業はお任せ主義ではなく、住民合意のプロセスが重視された。この延長線上に今回の宮城の条例案があり、議員は住民と協力して政策決定につなげていく責務がある」

[住民投票]住民の投票によって政策などの可否を問う直接民主制の手法の一つ。憲法改正の国民投票や首長の罷免など投票結果が最終決定になるものと、住民投票条例に基づき実施され、結果に法的拘束力がないものの2通りある。後者の最終決定権は首長、議会にある。住民が署名を集めて直接請求した条例案が議会で可決されるか、常設された住民投票条例の要件を満たせば、投票が行われる。


2019年02月22日金曜日


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