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<縮小の先へ 被災地と人口減>第1部 なりわい・水産加工業/人手不足で増産二の足

キンメダイを処理する外国人技能実習生。水産のまちに不可欠な存在だ=石巻市の水野食品

 人口が減る。地域を支える担い手が足りない。人口減少局面で起きた東日本大震災は、過疎化や少子高齢化を加速させた。震災から間もなく8年。縮む被災地の先に広がる風景は−。「生業(なりわい)」「生活」「インフラ」の三つをキーワードに、先鋭化する課題に向き合い、模索する姿を追った。 人口が減る。地域を支える担い手が足りない。人口減少局面で起きた東日本大震災は、過疎化や少子高齢化を加速させた。震災から間もなく8年。縮む被災地の先に広がる風景は−。「生業(なりわい)」「生活」「インフラ」の三つをキーワードに、先鋭化する課題に向き合い、模索する姿を追った。

 復興を期す生産設備をフル稼働できないジレンマが、水産のまちを覆う。頼みの綱はアジアの労働力だ。

<生産能力は回復>
 「震災後は常に求人を出している。賃金は高めに設定しているつもりだが、反応が思わしくない」
 水産加工業水野食品(石巻市)の水野貴竣常務(46)の憂いは深い。
 主力商品は西京漬けなど漬け魚。東日本大震災の津波で工場が被災した。2011年11月に事業を再開し、生産能力は震災前と同規模にまで回復した。
 関東のスーパーを中心に受注を伸ばし、一部縮小した販路をカバーした。増産し、勢いに乗るシナリオを描くが、販売額は最盛期の6割程度にとどまる。原料高に加え、慢性的な人手不足が原因だ。
 震災前、約60人いた従業員は現在45人。ミャンマーからの技能実習生を中心とした外国人従業員が3分の1を占める。
 17年、外国人技能実習生の受け入れ期間が最長3年から5年に延長された。水野常務は「3年では技術を覚えた頃に帰ってしまうが、5年なら後輩を指導できるほどの戦力になる」と歓迎しつつ、将来への不安を拭い切れない。
 震災前、石巻市内の水産加工団地の実習生は中国人が多数を占めた。好調な中国経済を背景に人数は次第に減り、現在、主軸はベトナムやミャンマーなど東南アジア諸国に移った。
 水野常務は「中国同様、母国が経済成長を遂げたら人材確保が難しくなるのではないか」と危惧する。

<アジア人が戦力>
 水産加工が基幹産業の塩釜市でも、外国人が水産復興を支える。
 平日午後2時ごろのJR東塩釜駅。10〜30代のネパール人15人ほどがタクシーに分乗する光景は、今や日常となった。向かう先は冷凍食品や焼き魚・煮魚などを製造する極洋食品(塩釜市)の本社工場。震災後に新工場が完成し、製造ラインが増えた。
 ネパール人は日本語学校に通う学生だ。アルバイトとして7時間、煮魚のラインに就く。週28時間の制限があり、働けるのは週4日までだ。
 同工場の臼杵(うすき)和人総務課長(50)は「夜に働ける人材が集まらず、外国人の学生バイトを採用した」と言う。顔触れが毎年変わり、技能が安定しないが継続せざるを得ない。人手不足を補うため、技能実習生のベトナム人10人、中国人10人も雇用する。
 めんたいこなどを製造する味莱(みらい)(塩釜市)は12年に外国人技能実習生の受け入れに踏み切り、毎年10人前後を受け入れている。当初は中国人、15年以降はベトナム人だ。
 震災特需で残業が増え、日本人の離職者が相次いだ。谷口大輔工場長(33)は「当時は従業員が長続きせず、生産性が上がらなかった。意欲的な実習生を受け入れて良かった」と話す。
 塩釜市によると、市内で働く外国人技能実習生はベトナムや中国など5カ国計360人(昨年4〜6月)を数え、34社が受け入れている。
 水産のまちは今、「外国人技能実習生がいない状況は考えられない」(極洋食品の臼杵課長)局面に入っている。


2019年02月22日金曜日


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