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<震災8年>亡き友のTシャツがお守りに 東松島の社会人ランナー、レースに持参「頼むぞ」

千葉さんのTシャツを手に、一緒に走った思い出を振り返る相沢さん

 宮城県東松島市職員の社会人ランナー相沢賢さん(34)は東日本大震災の津波で大切な仲間を失った。石巻高陸上競技部で1年後輩だった石巻市の千葉正章さん=当時(25)=。手元には大学時代に交換したTシャツが残る。「お守りみたいな存在」。亡き友との思い出を胸に刻み、競技を続ける。

 昨年11月に石巻市であった宮城県駅伝競走大会。相沢さんは所属する社会人チーム「石巻RC」で3区を任された。走る直前、かばんからTシャツを取り出して「頼むぞ」と願掛けした。順位を落とさずにたすきをつなぎ、チームの初優勝に貢献した。
 Tシャツは大学1年の夏、千葉さんのアパートに遊びに行った際にお互い頑張れるようにと交換した。震災後、大事なレースの会場に持ち歩いている。
 同市北上町十三浜の出身だった千葉さん。陸上は高校から本格的に始めた。誰からも慕われる明るい性格。相沢さんは「おだづもっこ(お調子者)だった」と懐かしむ。
 千葉さんは大学卒業後、地元に戻り、消防士になった。震災の日は夜勤明けの非番で、海沿いの実家にいた。遺体が見つかったのは約1カ月後のことだった。「仕事が落ち着いたら一緒に走ろう」。2人の約束は果たせなかった。
 震災翌日、相沢さんは千葉さんら3人でスノーボードを楽しむ予定だった。「スノボに備えて家で休まず、どこかに遊びに行っていたら…」。時間が戻らないのは分かっていても、そう思ってしまう。
 忘れられないレースがある。大学4年の引退試合。1浪して進学した相沢さんは東北福祉大、千葉さんは福島大でそれぞれ陸上競技部の主将を務めていた。
 種目は3000メートル障害。2人は序盤から競って別の選手を含む3人で激しい2位争いを展開した。結果は千葉さんが2位、相沢さんは4位。1秒以内の僅差だった。
 「表彰台に上がれなかったのは悔しかったが、互いにベストの走りができた」。高校時代の後輩との真剣勝負を楽しんだ。
 県駅伝競走大会も高校生の頃に千葉さんと一緒に走ったことがある。思い入れのある大会だ。「久しぶりに納得のいく走りができた」と相沢さん。遺品となったTシャツから力をもらい、今年も練習に打ち込む。


2019年02月22日金曜日


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