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<311次世代塾>第2期 第13回講座 「子どもたちの未来」をテーマに学ぶ

追悼式典で風船を飛ばす参加者ら。震災遺児の支援には、地域や社会が一体となった取り組みが必要だ=2018年3月11日、仙台市若林区の荒浜小

 若者たちが東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第2期の第13回講座が16日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。被災した子どもたちをサポートするNPO法人2団体の関係者を講師に招き、「子どもたちの未来」をテーマに学びを深めた。

◎不登校や貧困表面化/アスイク代表理事 大橋雄介さん

 最初の講師は、生活困窮世帯を対象にした学習支援活動のほか、フリースクールや子ども食堂などを運営しているアスイク(仙台市)の代表理事大橋雄介さん(38)が務めた。
 「震災の約3週間後、避難所で暮らす子どもたちに勉強を教え始めたのが活動の出発点だった」と切り出した大橋さんは、仮設住宅や避難所で目の当たりにした不登校や貧困の実態を紹介しながら「震災が起こる前は見えなかった問題が一気に噴出した」と強調。
 仮設住宅間で支援に格差が生じたり、支援者間での連絡調整に時間が掛かったりした点などを挙げ「学習支援は関係をつくる入り口。見えにくい問題の発見と対応が大切だ」と力説し、「生活基盤の弱い人たちが困りにくい社会を日ごろから作っていくことが有事への備えになる」と訴えた。

◎遺児の物語 耳傾けて/グリーフサポートステーション事務局長 相沢治さん

 続いて、震災などで親を亡くした遺児・孤児を支援している子どもグリーフサポートステーション(仙台市)の事務局長相沢治さん(43)が講師を務めた。
 相沢さんはグリーフ(悲嘆)について解説した上で、「喪失体験をした子が乱暴になったり不登校になったりするのは健全なことだと知ってほしい」と呼び掛け、「子どもは遊びを通して、現実を理解する。津波ごっこや蘇生ごっこは安全ならば止めずにやらせるべきだ」と語気を強めた。
 「震災で1698人が遺児や孤児になった」と紹介した相沢さんは「大切なのは一人一人の物語に耳を傾けること。気持ちが揺れ動いた時、それを評価したり先回りしたり誘導したりせず、丸ごと受け止める大人が必要だ」と指摘。「震災前は全国で4カ所しかなかった支援拠点が現在は30まで増えた。災害が起きてから対応するのは遅い。災害前にどれだけ備えておけるかが重要だ」と結んだ。
 講話後のグループ討議で受講生からは「災害発生前に、どれだけ顔が見える関係性をつくっておけるかが大事だ」「支援する側が勝手な判断を子どもに押し付けず、ありのままを受け入れることが大切だと学んだ」といった意見が出た。

◎受講生の声

<貧困浮き彫りに>
 子どもの貧困などの問題が震災で浮き彫りになったと知りました。行政と連携した支援が大切です。大きな悲しみを経験した時のグリーフ反応も学び、子どもにこそ、事実を伝えるべきだと感じました。(宮城県柴田町・東北福祉大2年・松崎紗南さん・20歳)

<教員の力が必要>
 教員志望なのでジョイニングという技法やグリーフ反応など、子どもと向き合う知識を得たことは良い経験になりました。支援者と現場の懸け橋としての教員の尽力が適切な支援につながると学びました。(東松島市・宮城教育大3年・斎藤友稀さん・21歳)

<家族の支援大切>
 学習支援や子ども食堂をきっかけに、家族を支援することで子どもが生きやすい社会をつくる試みはすごいと思いました。継続的に寄り添うことが大切。教訓を自分事として捉え周りに伝えたい。(仙台市青葉区・宮城学院女子大3年・横倉実可子さん・21歳)

[メモ] 311「伝える/備える」次世代塾を運営する「311次世代塾推進協議会」の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。事務局は河北新報社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp


2019年02月22日金曜日


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