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治水か、景観か… 昨年2度浸水被害の戸沢村・蔵岡地区、意見割れ困惑

集中豪雨被害に遭った蔵岡地区。輪中堤の案では、排水ポンプ(右)周辺に高さ1.8メートルの堤体整備を想定している

 昨年8月、2度の集中豪雨により多くの建物が浸水した山形県戸沢村蔵岡地区で、集落の東側を流れる角間沢川の治水対策を巡り、住民の意見が分かれている。国と県は費用対効果の面から集落全体を取り囲む「輪中堤」を推すが、住民の間には景観や心理的な閉塞感を訴える声も多い。議論が長引けば着工が遅れ、対策が梅雨や台風シーズンに間に合わない恐れもある。

<最高で2.5メートル>
 「集落内に輪中堤が設置されれば圧迫感がある。別に良い考えはなかったのか」。1月20日、地区の公民館であった治水対策の住民説明会で、輪中堤を疑問視する意見が出た。
 県が住民に提示した対策案は集落だけ、または一部農地を含めて集落全体を囲む輪中堤を含む4案(表)。優劣こそ付けていないが、県や国は工期や費用などの面から「輪中堤が現実的だ」と説明する。
 東北地方整備局新庄河川事務所、県、村は年度内3回の住民説明会で住民合意を取り付け、新年度に事業着手したい考えだ。
 輪中堤の高さは低い所で0.5メートル、最も高い所では2.5メートルになり、住民の反応もさまざまだ。
 「昨年夏の水害では、倉庫の中の家具が使えなくなり、全部を捨てざるを得なかった。早くできる対策がいい」(60代女性)と早期完成を望む声がある一方、「視界がさえぎられる」(同)「おりの中にいるようで嫌だ」(30代女性)といった拒否反応も。ある60代男性は「どれがいいかという4択問題ではない。二度と水害が起きないものを造ってほしい」と望む。

<排水強化を>
 住民の間には昨年8月の1度目の水害で、国が約14億円を掛けて整備した排水ポンプが停電などで十分に機能しなかったことへの不満が根強い。国は3月上旬にも非常用電源を設置する方針だが、住民には排水機能の強化を求める声も多い。
 蔵岡地区会長の長沢勇夫さん(65)は「集落の安全が一番だ。ただ、周りには田畑も多い。輪中堤では外側にある農地の冠水は防げないため、住民からは農地の冠水対策を求める声も聞く」と語る。
 事業主体の県は「人命と建物の被害を防ぐ観点で、輪中堤は早くでき、内水被害を防止する効果も高い。住民の意見を受け止めながら、さらに検討を進めたい」(河川課)と話す。


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2019年02月22日金曜日


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