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<再生の針路>中心部にも伝承拠点を/仙台市 郡和子市長

震災の経験や教訓を伝承する「せんだい3.11メモリアル交流館」。市は伝承事業のさらなる充実を図る

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(1)

<秋には全線開通>
 −復興事業の進捗(しんちょく)はどうなっているか。
 「県道塩釜亘理線のかさ上げによる東部復興道路は当初より遅れたが、今秋には全線開通する。蒲生北部地区の土地区画整理も2020年度までに完了する予定で、ハード事業終了の見通しが付きつつある」

 −防災集団移転跡地利活用事業では、若林区荒浜や宮城野区南蒲生など全31区画のうち、18区画で事業者が決まった。
 「観光果樹園やスポーツ、レクリエーション施設など、それぞれが趣向を凝らした事業を提案している。宮城野区岡田新浜では、市民団体が復興田んぼやビオトープを整備した。3月末に2次募集の事業者が決定する見込みだ。にぎわい創出だけでなく、津波の被害に思いをはせることができる場所になってほしい」

 −仮設住宅の入居者減を理由に、市被災者生活支援室が3月末で廃止される。
 「被災者支援は健康福祉局社会課が引き継ぎ、担当課長を配置する。災害公営住宅の住民に対する心身のケアは、長く取り組まなければならない。高齢化の進行や若い世代の流出も課題だ。住民同士が支え合える環境づくりのため、コミュニティーの維持、活性化に向けたサポートも重視したい」

<荒浜小を教育に>
 −新年度も震災の伝承事業に力を入れる。
 「震災遺構・荒浜小を見学する一部の小学校に、送迎バス費用の補助を始める予定だ。震災を経験していない子どもたちにこそ実際に見て、学んでもらいたい。宮城教育大大学院と連携し、荒浜小を活用した防災教育に関する教員向け指導書を作成している。各校で利用してほしい」

 −若林区荒井の「せんだい3.11メモリアル交流館」に続き、市中心部のメモリアル拠点に関する検討委員会が1月末に始まった。
 「20年度末に基本構想を策定する。1000年に1度と言われる津波や地震などの複合災害の実像を伝え、沿岸部の他の施設につないでいく機能が必要だ」

 −11月には2年に1度の世界防災フォーラムも開かれる。
 「世界の専門家が防災を議論する場となり、市民レベルの取り組みをPRする仙台防災未来フォーラムを同時開催する。市民参加型のイベントとして盛り上げ、国連防災世界会議で採択された国際指針『仙台防災枠組』や震災の教訓を発信していきたい」(聞き手は報道部・横川琴実)


2019年02月23日土曜日


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