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<再生の針路>諸島部工事遅れ挽回へ/塩釜市 佐藤昭市長

防潮堤や物揚場の復旧工事が進む浦戸諸島の野々島
佐藤昭市長

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(3)

 −復旧復興関連事業の進み具合は。
 「2017年度末の進捗(しんちょく)率は約86%で、18年度末の見込みはおおむね93%。ただし、浦戸地区は約80%にとどまる見通しだ」

 −なぜ浦戸諸島で遅れが目立つのか。
企業が応札せず
 「入札が不調で工事を発注できないためだ。島への資材運搬や定期船での往来による作業時間の制限を敬遠するのか、企業が応札してくれない。島々は今も被災した姿をさらけ出しているのが実情で、島民に迷惑を掛けている。悪戦苦闘だ」
 「19年度は島単位で各種工事を一括発注したい。企業側の採算性は改善するはず。19年度末に浦戸の進捗率を97%まで上げ、市全体で98.5%としたい。国の『復興・創生期間』が終わる20年度末までのハード面の完遂が努力目標だ」

 −水産業、水産加工業の状況はどうか。
 「市魚市場の水揚げ額は約100億円と震災前の水準に戻りつつあるが、漁業規制など取り巻く環境を考えるとマグロ一辺倒ではなく魚種の拡大は喫緊の課題だ。二つある卸売機関を一本化し、オール塩釜で漁船誘致に取り組みたい」
 「水産加工は販路が戻らず厳しい。売り上げが震災前の7割まで回復した事業者はいい方。海外を含む販路拡大に向けてデータ蓄積などの下支えをしていく」

 −市内9地区の災害公営住宅に住む被災者のコミュニティー形成は順調か。
 「自治会設立や既存の近隣町内会への編入などが進む。NPOの協力を得ているが、北浜(31戸)と錦町東(70戸)は未定だ」

 −被災した海岸通地区の再開発は進んでいる。
 「中心市街地であり市民の思い出が詰まった地区。紆余(うよ)曲折を経て18年6月に着工した。復興のシンボルとして関係者と一緒にできるだけ早く完成させたい」

 −観光面は回復したか。
宿泊型を目標に
 「18年の観光客入り込み数が速報値で230万7000人。震災直前の10年が232万人なので、あと少し新たなてこ入れが必要。通過型ではなく滞在や宿泊型を目指し、起爆剤として地域通貨の社会実験やインバウンド(訪日外国人旅行者)対策を試みたい」

 −重視する課題は。
 「地域経済の活性化。港湾と魚市場、商店街(海岸通、本町)を結ぶトライアングルを強化したい。人口定住対策にもなる。まちづくりの人材育成も進める」
(聞き手は塩釜支局・松田佐世子)


2019年02月25日月曜日


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