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<再生の針路>仙台直結の利点生かす/気仙沼 菅原茂市長

16日開通した三陸沿岸道路の歌津―小泉海岸インターチェンジ(奥)間。観光客増加などが期待される=気仙沼市本吉町
菅原茂市長

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。(聞き手は気仙沼総局・大橋大介)

◎震災8年 被災地の首長に聞く(4)

 −国の「復興・創生期間」が終わる2020年度末まで残り2年となった。

<工事遅れ次々と>
 「非常に厳しい状況だ。復旧事業の進捗(しんちょく)率(18年12月末)は防潮堤が35.6%、道路が61.7%と遅れている。あと2年で終わらない工事もある。各自治体からの派遣職員は減少傾向で、職員も不足している」

 −区画整理事業や大島の観光拠点も遅れている。なぜこれほど遅れるのか。
 「当初の想定が不十分だった。20年度という期限が決められた中では、円滑に進んだ場合の計画を立てるしかなかった。例えば区画整理事業では、ある程度埋設物があるのは想定できたが、具体的な量は工事を始めないと分からない。工事に着手して不測の事態が次々に露呈した」

 −人口は6万3800(18年12月末)。震災前と比べて1万人以上も減った。
 「この1年の減少率は約1.6%と、ここ数年よりも0.3ポイント高くなった。復興が進み事業に関わった人が帰り、高齢化率も約37%と人口減少を加速させるレベルにある。新年度は庁内に人口減少対策本部を立ち上げ、婚活などの具体的事業に力を入れる」

 −気仙沼市と仙台市が一部区間(2キロ)を除き、三陸沿岸道路でつながった。
 「観光客の増加と通勤圏拡大による人手不足の解消が期待できる。消費が都市に奪われるストロー効果を懸念する声もあるが、後ろ向きな意見だ。100万人を抱える仙台圏とつながったメリットは大きい」

 −観光客数は震災前の6割にとどまる。
 「海水浴場が復旧していない影響が大きい。気仙沼の観光のポテンシャルは高い。三陸道の延伸、4月の気仙沼大島大橋の開通は確実に交流人口の拡大につながる。釜石市が会場となるラグビーワールドカップも海外の観光客に気仙沼をPRする好機となる」

 −昨年は県の復興事業である内湾地区防潮堤で高さを間違えるミスがあった。

<防潮堤で認識差>
 「海と関わる生活を過ごしてきた気仙沼市民にとって、防潮堤は単なる防災にとどまらない関心の高い事業。だが、県にとっては一つの事業に過ぎなかった。事業に対する思い入れ、認識の差は埋まらなかった」
 −復興・創生期間後の国の支援はどうあるべきか。
 「21年度以降にずれ込むハード事業の財政支援は必要だ。災害公営住宅では単身の高齢者世帯が年々増加している。ソフト面に関しても何年間かは継続して支えてほしい」


2019年02月26日火曜日


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