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満開の桜を震災犠牲者に 宮城農高科学部生徒が追悼式へ開花調整「被災地に春届けたい」

桜の生育状況を確かめる生徒たち。一部は花を咲かせている

 東日本大震災で被災した岩沼市玉浦地区で3月10日に行われる追悼行事に合わせ、桜の花を咲かせるプロジェクトが進められている。実施主体は同地区で桜の栽培を続けてきた宮城農高科学部の生徒たち。通常の開花時期には1カ月近く早いが、温度調節などの実験を重ねており、「追悼行事に鎮魂の花を添えたい」と意気込む。

 担当は科学部の生徒6人。桜には、その年の2月1日以降の最高気温の累積が600度を超えると開花する法則があるとされる。仙台近郊の開花時期はおおむね4月上旬のため、苗木を温める方法で開花を早める。
 実験場所は校内と追悼行事がある慰霊公園「千年希望の丘」の2カ所。(1)パネルヒーター入りのクリアケースの中で高さ約30センチのマメザクラと啓翁桜(けいおうざくら)を栽培(2)電熱マットの上に大鉢を置いて高さ約2メートルの塩害に強い品種など2種類を植栽−の二通りの方法を試す。
 このうち、千年希望の丘ではクリアケースの中の温度を20度に設定すると実験開始から10日で満開になることを確認。3月1日前後から同様の方法で加温すれば当日ごろに満開になる計算で、科学部は満開の桜を会場に展示できるよう調整を続ける。
 3月10日の追悼行事「希望の灯火(あかり)」は市が初めて実施する。風化防止を願って「明日は11日だ」と知らせる意味を込め、丘周辺に灯籠を置くなどして犠牲者を悼む。市側から科学部に当日に咲く桜などがないか打診があり、該当する品種はないものの、空洞化が進む被災地に春を届けようと実験を思い立った。
 科学部は震災後、名取市沿岸部にあった旧校舎で津波に耐えた桜の子孫を玉浦地区などに植える活動に当たってきた。1年加藤樹世歌(きよか)さん(16)は「まだ苦しんでいる方が少しでも笑顔になれるよう頑張りたい」と張り切る。


2019年02月26日火曜日


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